第344話 ペット枠
「お肉にならない動物欲しい!!」
「欲しい!!」
女の子達の要望により、新しいペットを飼うことになった俺達。
「にゃーん!!(僕という者がありながら浮気なの!?)」
「いや、お前大体寝てるじゃん」
「にゃーん!!(まぁねぇ)」
その話を聞いていたイナホがちょっと突っかかってきたけど、俺の反論に一切言い返すことも同意して、言ったそばからリンネの膝で寝始めた。
全くこいつは!!
本当に寝てばかりで何もしてないことが多い。正直、四六時中寝まくってるせいで存在を忘れることも多々あるくらいだ。
もう少し自己主張してほしいところだな。
そんなことを伝えたとしても、面倒くさいとか言って寝るだけなのがオチだけど。
「飼いたい動物はいるか?」
俺はそれぞれに尋ねることにした。
「私はイナホがいればそれでいいわ」
リンネは膝の上にイナホを乗せて、頭を撫でながらその沢山の尻尾を堪能しながら答える。
イナホはリンネに撫でられながら気持ちよさそうに眠っていた。イナホとリンネはここの中でも一番長いからな。わからなくもない。
「うむ。私はそうだなぁ。馬がいいな。ずっと乗ってみたいと思っていたのだ」
「馬か、それはいいな」
確かに異世界にきたのに、馬に乗るという経験をした事がなかったな。日本でも乗馬できるけど、しがない地方の会社員の俺には縁遠いものだった。
できればせっかく異世界に来たんだから、スレイプニルとかケルピーみたいなファンタジーっぽい馬が欲しい。
それから話は変わるけど、馬肉は美味しい。そっちを飼うのを忘れていたので、今度追加しておこう。
「リリは何が良いんだ?」
「ウサちゃん!!」
リリは狐獣人だからか、食料になりそうな兔をチョイス。
ふむふむ。確かにモンスターもマルウサギもなんだか真ん丸な体に地球のウサギの顔がくっついているような、なんともいえない可愛らしさのある見た目をしているからな。
メープルラビットも食用とは言え、そのもっちもちの姿が愛らしいからそのまま飼ってもいいけど、アンゴラウサギみたいな種のウサギの方がモフモフして可愛いので、捕まえてくるのも悪くないだろう。
「ルーンはどんなのが良いんだ?」
「私はネズミ!!」
「え!?ネズミ?」
「うん、ネズミ可愛いもん!!」
今度は狸獣人のルーンに飼ってみたい動物を尋ねると、まさかの回答が返ってきて俺は驚いた。
やはり好みには元になっている獣の影響があるのかもしれない。タヌキはネズミを食べると言うからな。
「お、おう。そうか……こんな……ハムスターはどうだ?」
「あ、可愛い!!それがいいな!!」
でも流石にネズミをそのままと言うのもアレなので、ハムスターの画像を見せてやると、嬉しそうに目を輝かせるルーン。
それならハムスターと大きいカピバラも一緒に捕まえてこよう。
「ヘインズはどうだ?」
「僕はそうだなぁ。やっぱり羊かなぁ」
「そうかぁ」
うん、完全に牧羊犬的な考えだなこれ。多分鳥と同じように追いかけまわしたいんだ。
まぁ鳥とは別に羊の群れの誘導や見張りをしてもらったり、盗難はないだろうから、捕食動物から守るように守ってもらうことにしよう。
それに異世界特有の気が金色に輝く羊とかを飼ってみるのも悪くないかもしれない。探してみよう。
「キースは……飼いたい動物なんていないか」
「いいや、いるぞ!!」
俺は最後にキースを見て首を振ったが、キースは抗議をするように叫ぶ。
へぇ、キースが肉以外に興味を示すなんて珍しい。
「ほう。どんな動物だ?」
「ドラゴンだ!!」
「ほうほう。ドラゴン?ドラゴン!?」
俺が肉にしか興味のないキースが飼いたがる動物ってなんだろうと思い、問いかけると、ルーンとは別の意味でぶっ飛んだ回答が返ってきて、俺は思わず、ノリツッコミのような返事をしてしまった。
「いや、なんでドラゴンなんて飼いたいんだよ!?」
「だってドラゴン肉美味いじゃん!!」
俺が困惑しながら聞き返すと、キースはニッコリ笑って朗らかにそう答えた。
「はぁ~、やっぱりそんな理由かよ。でもそのドラゴンは殺したりしないんだぞ?」
「えぇ~、そっか。それじゃあ食用のドラゴンも飼ってくれよ」
俺が呆れるように額を押さえつつ当然の問いを投げかけたら、残念そうに返事をした後、家畜にドラゴンの追加を要求をしてくるキース。
なんという図太さだ。
「はいはい、分かった分かった。一応聞くが、肉を食べられないドラゴンは飼わなくていいのか?」
「おう、どうでもいいぜ!!」
まぁ可愛いもんだから願いを叶えてやることにするとして、ドラゴン自体の飼育には興味がないのかを確認したら、全く興味はないとのことだった。
キースは興味がないようだけど、ペットにドラゴンがいるというのも悪くなさそうなので、牧場を作っていない冬のエリアを作って飼育できないか検証したいところだ。
ドラゴンは爬虫類だとしたら難しいかもしれないが、ファンタジー生物だからそういうこともないかもしれないし、氷龍のような氷を操るようなドラゴンなら問題ないだろうしな。
「よし、皆の希望はよーくわかった。それじゃあ、そいつらを捕まえに行くか!!」
『おー!!』
皆からの要望を聞いた俺は、ファンタジー動物を捕まえに行くことにした。皆も賛同するように声をあげた。
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