第339話 各季節の担当者
「さてと、俺達は分担して各季節の畑を管理したいと思う。大人が一人足りないが、そこはバレッタ達の内の誰か一人にやってもらおう」
『パパ!!私が立候補するなのですよぉ!!』
四つの季節のそれぞれの畑を皆で分担してやることにしたが、保護者が一人足りないのでバレッタ達パーフェクトメイドに頼むことにしたら、聞いていたらしいシロユリが立候補してきた。
「いやいや、シロユリは子供じゃないか」
『パパったら何を言っているのです?私は立派な大人のレディーなのです』
「いや、どう見ても『お・と・な・なのです!!』」
俺が呆れるように返事を返したら、すまし顔が透けて見えるような声色で返事をしてきたので、俺が反論しようとしたんだが、有無を言わせない様子で喰い気味に言葉を被せてきた。
流石バレッタの姉妹。
『誠に遺憾なのですが……』
俺がそんなことを考えているとバレッタから不服そうな念話が送られてきた。
悪い悪い。
「はぁ……分かった分かった。四人目はシロユリにしよう。その代りちゃんと保護者としての役割を果たすんだぞ?」
『分かったのです~』
俺がその言葉の迫力に渋々その提案を受け入れると、シロユリは嬉しそうに返事をする。どう考えても子供の性格にしか見えなかった。
「早速来たなのですよ」
何もない場所から急に現れたシロユリ。どうやら転移でやってきたらしい。
「子供たちも相手が自分たちと同じような見た目だからってなめるような真似はしないようにな。バレッタやアンリと同じアンドロイドメイドだからなぁ」
『はーい』
子供たちはバレッタ達の凄さが分かっているのか素直に返事をした。
うんうん、強いなんて嘯いていても俺達なんてアンドロイド達の足元にも及ばないからな。子供たちは獣人ゆえにそのことを本能で感じ取っているのかもしれない。
「それじゃあ、くじ引きで分担を決めるぞぉ」
俺はそういうと倉庫からくじ引きの箱を取り出した。俺が必要としている物を瞬時に用意している辺り流石バレッタ。
それぞれが順番に引いていき、それぞれのパートナーが決まった。
「おっちゃん肉育てような!!」
お肉大好きキースだった。リンネは狐獣人のリリ。カエデがたれ耳犬獣人のヘインズ。シロユリは狸獣人のルーンがそれぞれペアとなった。
ただ、それぞれの耕作地を二人で全て管理・運営するのは無理があるので、結局それぞれにアドバイザー役としてアンドロイドを一人つけると共に、倉庫に眠っているアイテムを使うことにした。
そのアイテムとはゴーレムの事だ。勿論ただのゴーレムではない。命令を出せば、その命令に応じて自律的に動いてくれる優れた仕様だ。バレッタ達ほどではないにしろかなり優秀で、太陽光によってエネルギーを充填して半永久的に動いてくれる。
今回この島を開拓するにあたって俺は自重というものを捨てていくスタイルだから理想の環境にするために使える者は使っていく。
「よし、それぞれの百体ずつゴーレムを貸すので、アンドロイド達のアドバイスを受けながら、それらを上手く使ってそれぞれの季節に合った作物を育ててくれ」
「分かったわ」
「うむ、任せよ」
「パパ、任せて!!」
俺がそれぞれに指示を出すと、リンネ、カエデ、シロユリが元気に頷いた。
「よし、ということで肝心の各々どこの季節を担当するかだが、誰か冬を担当したい奴はいるか?」
『……』
俺が尋ねると誰一人として手を挙げることはなかった。案の定だった。誰も好き好んであの寒い季節で頑張ろうとは思わないか。
「いやまぁそうなるよな。ということでここは公平にじゃんけんにしたいと思う」
ということでここはじゃんけんで決めることにした。
またくじ引きでもいいけど、それじゃあつまらないしな。
「それはケンゴに有利過ぎないかしら?」
「そういうと思って、じゃんけんするのは子供たちだ」
「なるほどね。それならいいと思うわ」
俺の身体能力の事を突っ込まれると思ったので、本当に正々堂々と決めるため、プレイヤーを子供たちにすることにした。
これで決まったなら大人たちも納得できるだろう。
「よし、お前達。早速始めるぞ。」
『はーい』
「最初はぐー、じゃんけんぽん」
『あいこでしょ』
『あいこでしょ』
『あいこでしょ』
…
…
…
子供たちを集めてじゃんけんさせると、なぜか相子が続いた。しかし、百度ほどあいこが続くと、ついにその拮抗が崩れた。
「ま、負けただと……」
そう、負けたのは我らがお肉大好きキース君であった。
「やったぁ!!」
「やっほぉ!!」
「かったぁ!!」
他の三人は手を取り合って喜びあっている。
ふぅ。これが俺の天命か。
「よし、残りのも決めてくれ」
こうして俺達は誰がどこの季節を担当するか決まった。
俺とキース、そしてバレッタが冬、リンネとリリ、そしてアンリが春、カエデとヘインズ、そしてワイスが秋、シロユリとルーン、そしてノーナが夏となった。
俺達は早速栽培し始めることにした。
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