第104話 獣人国の古代遺跡へ
「ふぁ~」
目を覚ますと、そこはもう見慣れた天井だった。ここは馬車の中。昨日は帰ってきてからアルコールのせいか盛り上がってしまい、リンネと久しぶりに気を失うまで致してしまったのである。
俺は横向きでリンネを後ろから抱きかかえるように眠っていた。そして下半身に違和感を感じる。何か温かいものに包み込まれているような。しかも程よい刺激があって気持ちがいいような。
「あん……」
俺が身じろぎすると、まだ眠っているリンネから艶めかしい声が漏れた。
これは……まさか……!?
意識が急速に覚醒していく。
意識の覚醒と共に全身の感覚も鮮明になり、今の現状を理解した。俺とリンネは一点において繋がったままだったのだ。
しかもおじさんだが、治療カプセルに入って体内は超健康体にされた身だ。昨日呆れるほど出し尽くしたはずだが、認識したら朝から分身君がすぐに全力戦闘モードへと移行していた。
「あ……んん……な、なに?……はあんっ」
それを感じ取ったのか、甘い声を出しながらリンネが目を覚ます。
「お、おはよう、リンネ」
「ケ、ケンゴ!?あ、これ、昨日のまま……」
俺が気まずそうに後ろから挨拶すると、今置かれている状況を理解したらしい。
「もう、全く朝からしょうがないわね。こんなにしちゃって……」
「いやまぁ、これも生理現象というかなんというか……はははっ」
リンネがお腹を擦りながらそんなことを言うもんだから、俺は頭を掻いて苦笑いを浮かべるしかない。
「あっ。もっと大きくなったわね……その……する?」
息子の興奮を感じ取ったリンネが、俺の方を少しだけ振り向いてモジモジしながら提案してきた。
うん、これは辛抱溜まらん!!
「リンネ!!」
「あ、あぁん!!」
こうして俺たちは朝っぱらから一戦交えることになった。
「にゃーん(主たちは朝から発情しすぎだよねぇ。僕お腹すいたよ)」
「ま、まぁあれはしょうがなかったんだ。すぐにご飯を出すから許してくれよ」
朝から盛ったせいでご飯が遅くなったので、イナホが文句を言う。
俺は何も言えないので、ご飯でご機嫌をとってごまかすことにした。
「な、なにを言ってるか何とかなく分かったわ」
「にゃおーん(しょうがないなぁ)」
一応すでに言葉は二人に届くように改善できたので、傍から見てももうキモイおじさんとは言わせないが、イナホの言葉がリンネに伝わるわけじゃない。
リンネは俺の言葉だけで大体の内容を察して申し訳なさそうに顔を赤らめていた。
いつものように美味しそうな食べ物が出てきたことでイナホの機嫌が良くなり、朝のことは水に流してくれたようだ。
ふぅ助かったぜ。まぁいつもどんな時も寝てばかりのイナホに言われたくはないんだけどな。でもそんなことは言ってもイナホは許される。
なぜなら!!モフモフで可愛いは正義だからだ!!
可愛くてモフモフで自分に懐いてくれるヌッコ様は寝てばかりいてもいいのだ。
先にご飯を食べ始めたイナホに続いて俺たちも朝食を食べ始めた。
ご飯を食べ終わると、カエデと合流して俺たちは獣王を訪ねる。
なにをしに行くかって?もちろん約束の報酬を貰うためだ。
「おう、来たか」
「ああ」
「ええ」
獣王は俺たちが来るのを予想していたらしい。まぁ当然だが。
昨日は獣王がやけくそになって率先して浴びるように飲んでいたが、特に二日酔いもなさそうだ。
俺は魔導ナノマシンがあるから分解してくれるので次の日に残らないが、素でそれなんだからすげぇ体だな。
「それで、何しに来たんだ?」
脳筋らしくない書類仕事から顔を上げる獣王。
「分かってるだろ?」
「まぁな。古代遺跡への入場許可だったか?」
ニヤリと笑って答えてやると、肩を竦めて獣王は内容を述べた。
「そうだな」
「いいぜ、許可してやる。そして俺が直々に案内してやろう」
獣王がどんと胸を叩いて自信満々な表情を浮かべる。
「いいのか?」
獣王が仕事をほっぽり出してまで案内してくれなくてもいいんだがな。
「ああ。どうせ獣王になった者しか入れないことになっている。俺がつれていくしかない」
そういう事情なら仕方ないか。
「そうか。それじゃあ、よろしく頼む」
「分かった」
俺たちは獣王に続いて獣人族の古代遺跡へと向かった。
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