第068話 無限図書館
俺はアンリから本を受け取り、倉庫に送った。
「リンネとイナホはどうする?」
「そうね……この図書館を探検してくるわ!!」
「にゃーん(僕も付いてく~)」
なにそれ、ずっるーぃ!!
俺も探検したい。
「それは面白そうだな」
「でしょ」
俺が同意すると、リンネがニヤリと不敵に笑った。
大丈夫だ。アンリは残ってくれるはず。
「それなら私も付いていきましょう。読んでみたい本があれば私が読み聞かせしますよ」
え?マジ?
このままだと俺一人じゃん。
「ホント!?それなら魔法少女が出る本が良いわ!!」
「ええ、探検しながらご案内しましょう」
「いいわね!!それじゃあ行きましょ」
「にゃーん(しゅっぱーつ)」
皆ぞろそろと奥へと歩き始めた。
俺は一人ポツンと寂しくそこに残る。
寂しくて涙でちゃう!!
「なにしてんのよケンゴ、行くわよ!!」
「お、おう。ちょ、待てよ」
リンネが振り返ってにこやかな笑顔で俺を呼ぶので、俺は慌てて返事をして走って後を追った。俺だけ残るつもりだったが、そうじゃなかったみたいだ。
それからはアンリの案内の元、図書館内部を探索していく。
まるで迷路のように入り組んでいて、一人できたら迷ってしまいそうなほどだ。
「これは圧倒されるな」
「ホントね」
「にゃー(本がいっぱい!!)」
「ふふふ、お気に召していただいて嬉しいです」
それに当たり前だが、どこを見ても本だらけで限りが見えない。世界樹の内部ってことだったが、おそらくこの施設内も船と同じようにかなり拡張されているんだろう。いくら歩いてみても本の列が途切れることがなかった。
圧倒されている俺達を微笑ましそうな笑みを浮かべてアンリが見ている。
そして、一通りこの施設の中央らしき場所には一本の光の柱が通っていた。本が満たす空間の中にある光の柱は幻想的で、ここを観光名所とするなら、一番の見どころ言える場所に違いなかった。
光の柱に螺旋の階段が巻きついていて階段で上へと昇っていけるらしい。
しかし上も天井が見えず、柱はどこまでも続いているようだった。
「どのくらいの高さがあるんだ……」
「先まで見えないわね」
「にゃにゃーん(すっごーい)」
これって階段普通に上って行って一番上まで上がれるんだろうか。
「あの階段を普通に上っていくと、頂上まで1か月以上かかるので止めた方がよろしいですよ」
俺達の動きから疑問を推察したのか、アンリがくみ取ったように答えた。
「高すぎだろ!!」
「高さが国といってもいいくらいの大きさじゃないかしら」
「にゃーん(なんだか分からないけど、凄く高いんだね~)」
どれだけの広さがあるんだよ、この図書館。国立の図書館とか目じゃないぞ!!
「頂上に出たい時は、真ん中の光魔導エレベーターに入っていただければ数十秒でいけますよ」
「今度は逆に早すぎて怖えな」
流石に歩いて一カ月の距離を転移ではなく、数十秒で行けると言われたら引くよな。
「大丈夫ですよ。中にいる人は何の影響もなく、快適ですから」
「相変わらずのとんでも技術だ」
「早速行きますか?」
「どうする?」
アンリが俺に確認するので、俺はリンネに視線を向けて尋ねる。
ここでの先導はリンネだったからな。
「今はそれより魔法少女の本が気になるわ」
「そうですか。それでは次はそちらに行きましょう」
「ふふ、楽しみね」
魔法少女の書籍が所蔵されている場所に行くとあって、リンネはさらにテンションをあげる。
リンネはすっかり魔法少女にハマってしまったようだ。
俺たちはアンリの案内で魔法少女も物が並ぶ本棚までやってきた。
「ここから本棚1000架分に魔法少女の出てくる物語が収められています」
俺はアンリの説明を受けて、
「どんだけぇええええええええええええええええ!!」
と、どこかのヘアメイクアーティストみたいに叫んでいた。
「天国かしら……」
一方リンネはふやけた笑顔を浮かべて呆けていた。
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