第4話:目玉焼き

『クソまずい。』


卵独特の風味が鼻から抜けていく。


ぐうぅぅ。。。

何で、火を通し過ぎるだけでこうも臭いが増すものか?!


『目玉焼きひとつもまともにできないとか。

本当に毎日朝食とかどうしてるわけ?』


あぁ、ごめんごめん。

そんな瞳を向けないでよ。


『。。。。。。まさか、インスタントとかそんなんばっかなの?』


目の前に手を伸ばす。


『無言ってことは図星か。

インスタントばっかり食べているから痩せないんだよ。』


あぁ、やっぱりこの感触。

すごく落ち着く。やっぱり、この感触は手放せない。


『こんな生活続けてたらさ。自分、太っちゃいそうだよ。

いつになったら出勤できるんだろうなぁ。』


足元にかしづく騎士の首を撫でてやる。


『自分は、何のためにここにいるのかわからなくなる。』


そこにいてくれるだけで十分なのに。

今は休む時だと、のんびりすればいいんだ。








「緑の匂いが恋しいね。」


お気に入りのオモチャを目の前で振ってみせるが、

乗り気ではないらしい。










『クゥン。。。』

左手の甲に湿った感触がした。



















.






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る