君と僕の4月1日。

赤坂 葵

プロローグ

4月1日、僕は人生初の告白をされた。


それも、僕にとって高嶺の花のような存在の人に。


僕は人生初の告白を受けた。しかしそれに加えて、自分に不釣り合いな人からということもあり、僕は不信感を抱いてしまった。

僕に罰ゲーム以外で告白してくる人なんて、この世に存在しない。そんなこと、僕が一番わかっているつもりだ。

 そのはずなのに……。


今日は4月1日。つまりエイプリルフール。

きっとこれは嘘だ。そんなことは、バカな僕でも一瞬でわかる。しかし……。


──もし、この告白が嘘偽りないものだったら。


 そのときは、相手の女の子を傷付けてしまうだろう。

しかしこれが嘘でない可能性など、0に等しいだろう。あくまで「もし」である。


そんなことを言っているが、恐らく僕は期待をしているのだろう。


──これが本当の告白だったらいいな。


憧れの人であり、密かに思いを寄せていた相手だ。自分の気持ちに嘘をつくことはできない。


 そんなことを頭の中で考えていたら、相手の女の子は早く答えを出して欲しい様子で見つめてきた。

 僕はふっと一息吐いてから、彼女に向って返事を投げかけた。


「わかった。付き合おう」


 相手の女の子は涙を零しながら、僕に向かって「ありがとう」と言って屋上から出て行ってしまった。

 

それでは、改めて言おう。


今日は4月1日だ。

 例えエイプリルフールだから告白したと言われても、僕は文句を言える立場でないのだった。

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