―PM5:56―


いつもと違う時間、違う車両。


あれから一週間。


あの時間の電車には乗っていない。


翼くんがどれだけ彼女の事を好きだったか、言われなくても分かってる。


そんな人に「よりを戻して欲しい」なんて頼まれたら……。


考えて、すごく胸が痛んだ。


何も知らなかった時とは違う。


私は、翼くんの事を好きになってしまっていた。


多分、彼女がいた時から。


二人で一緒に微笑んでいる所なんて見たくない。


だから時間も電車も変えた。


あれからどうなったのかは、分からない。


でも、二人また仲睦まじく、あの時間の電車に乗っているだろう。


「翼くん、笑ってるかな……」


あの幸せそうな笑顔を思い出し、ボソッと呟いた。

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