第278話 LV278 いるぜいるぜ!
「ライガ、ちょっとこの道は老体には厳しいのだが……」
「こっちの方が早いんだよ!」
ライガの道案内により、移動するトーレムグレイグ勢。フミヤ達は生い茂る木々を掻き分け険しい山道を歩く。ライガが進む道は、凹凸が激しい道ややたらと狭い道が多く、一行は苦労していた。
「あんたは脳筋だから、いいけど少しは考えなさいよ!」
「うるせぇ。道伝いで行くと、魔物が山ほど襲ってくるぞ。倒しながら進めば、時間が倍ほどかかる」
「うう……」
正論に言い返せないイルイルであった。
「ほら、もうすぐ着くぜ」
ライガの道案内は的確であった。そのため、トリニスタント勢は全く敵と遭遇する事なく隠者のほとりへと到着する。
「フミヤ、メロちゃんはお留守番?」
「ふふふ」
フミヤは不敵な笑みを浮かべ、背負ってきたリュックを下すとチャックを開けた。
「モキュン!」
リュックからは手の平サイズのメロが飛び出す。
「メンバーに入ってなかったから、一応隠して連れてきたんだ」
メロはいつも通りフミヤの肩に乗り、満足そうな顔をしている。
「メロ、ごめんね。リュックの中狭かっただろ?」
「モキュ!」
メロは連れてきてもらえた喜びの方が大きいようだ。ちなみに冒険者にとっての必須条件はアイテムボックスのスキルである。それは素材集や任務達成時の証明として冒険者にはなくてはならないスキルだからである。フミヤは、アイテムボックスのスキルがないため「レア食材を少量しか持って帰れないのは困る」と考え、収納スキルを持つメロをこっそり連れてきたのだった。そして、この判断が少し後にフミヤ達を助ける事となる。
「着いたぞ」
フミヤ達は岩陰に隠れ、隠者のほとりの方を見る。
「ライガ、お願い」
「あいよ」
ライガがスキルを発動する。
「スキル、遠視……」
「ヴィオラ、何をお願いしたの?」
フミヤが尋ねる。
「ライガは遠視のスキルが使えるの。遠くを見渡せる能力よ」
「へえ」
「おお、いるぜいるぜ。大量だ」
ライガが遠く離れた湖の中央で、ジョボネゴッダの群れを発見する。
「1……2……3……………、50匹はいるぞ。どうする?」
「あいつらには火属性しか通用しないんだよね」
「俺、氷属性なんですけど……」
「それより、あそこを見ろ」
ライガは左斜め方向に指差す。
「レモンだ!」
フミヤ達は少し離れた岩陰に隠れるゴータスフール勢を発見する。
「とりあえず、合流しましょう」
ヴィオラの提案により、フミヤ達はゴータスフール勢と合流する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます