第10話 LV10 神々の集い

 とある次元の狭間の会議室。

 ここで12人の神々が集い、会議が行われていた。


「数年後に起こる言われる厄災について、意見のある者は?」

 至上神のゼウスが口を開く。


「地上の三大勇者がいれば、あるいは回避できるやもしれんが少し不安もある」

と、アレースは言う。


「女勇者ヴィオラのもとに面白い者がいるわよ」

 ヘスティアは現世の映像を映し出す。


「ヴィオラの夫、フミヤはたぐい稀に見る幸運、精神力の持ち主。かの者は勇者の討伐した黒竜に巻き込まれ、死ぬ運命であった。だが、奇跡的に生きておる。それどころか、何度も死に瀕死ながらもことごとくその状況から脱した。本来ならば、最上級回復魔法のテラヒールでも回復するかどうかの重体であるのにだ……」

 ヘルメースはヘスティアの後に続き語りだした。


「この者は、平凡な生い立ちであり戦闘こそ知らぬが、潜在能力はかなりのものだと思うぞ」

 アレースも映像をまじまじと見ながらそう話す。


 一同が沈黙するなか、ゼウスは再び口を開く。


「では、この者に勇者の救世主として神々の恩恵を与える。異論のある者?」


「……」


「……」


「皆、賛成のようじゃな。では、早速天命を伝えようぞ」


「至上神ゼウスよ、その役私にお任せくださいませ」

 アテーナーはフミヤへの伝令を買って出る。


「ではアテーナー、任せたぞ!」


 そして、その夜……それは訪れた。


 寝ているフミヤに一筋の光が差し込む。


「フ……ヤ」



「フミ……ヤ……」



「フミヤ…………」

 フミヤははっと目覚めた。


「私は守護と戦い。そして、知恵を司る神アテーナー。あなたには使命があります」


「……ん?」

 フミヤは突然の出来事に寝ぼけて声がうまく出せない。


「あなたはこの先、三大勇者の救世主として世界を守らないといけません。あなたが望むのであれば、私を含め神々の恩恵をあなたにもたらせましょう」


「…………」


「聞いていますか? フミヤ……」


「いりません」


「えっ?」


「俺、今とても幸せなんで大丈夫です」


「えっ。」

 

 *アテーナーは混乱している。


「授けると言っているのですよ」


「いりません」


「は? 神の恩恵ですよ」


「ただほど怖いものはないというし……」


「でもあなたには、世界を救うと言う……」

 

「そういうの間に合ってますんで。」

 フミヤはあっさり切り返す。


 *アテーナーはさらに混乱した。


「明日の朝、仕込みで早いんで帰ってもらえます?」


「あ、え、は……はい」


 次元の狭間でその様子を見る神々は全員が揃って「えっ?」と口にした。


 *ゼウスは混乱している。

 *他の神々も混乱している。


 フミヤが救世主となる日は来るのであろうか??


―――――――――――――――――――――――――――――

※ギリシャ神話の神を参考にしています。

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