異形のモノたち
やおき
第1話 始まりの終わり
目覚めた瞬間に目に入った情報はあまりにも多すぎた。
景色は赤と黒に覆われ、生臭い空気が充満している。
初めて生き物の焼ける臭いと煙で息が苦しくなる。
肺に空気が供給されない。吸う量よりも吐く量の方が多すぎて心臓の音が強くなる。
自分の心臓の音よりも大きな声に耳を奪われる。
「いや・・・いや、やめて・・・!!」
女性の声が聞こえてきた。何かに怯え、拒絶する声がだんだんと大きくなる。
「お願い・・・来ないで。来ないでーーっ!!」
女性の声が空に消えたと同時に人ではない声が甲高く響き渡る。
女性の声が聞こえなくなる。
後ろから聞こえていたのか、横から聞こえていたのか、どこから聞こえていた分からない声が聞こえなくなった。
この異常な空間に意識が少しずつ奪われていく。
精一杯の力で首を動かしてみると....
何かが近づいてくる足音が聞こえてきた。
ドス ドス 人間の歩く力で出せる音よりも大きく、ゆっくりと近づいてきた。
足音が止まると同時に意識は消失した....
┣━┻┓━┏┳━┫
┣━┳┛━┗┻━┫
失った意識が少しずつ目覚めていく。
頭を強く打ったのか。とても痛い。
また、重たい瞼を少しずつ開けていく。
さっき見た景色と何も変わらない。赤と黒が主体の景色。
身体に力が入らない。つまり動けない。
けれど、景色が動いている。そのことを理解したとき、自分の状況を知った。
誰かに運ばれている.....
身体は動かないので首だけでも動かし誰が運んでいるのかを確認する。
白い身体 体長は2メートルぐらい?
屈強な背筋が見えている。
首を上に動かし顔を見ようにも全く見えない。
背中から見える情報は少ない。
自分は多分、この人?に担がれていると認識した。
どうにか、抜け出したいが力が入らない。
試しに話しかけてみようと口を開いた時、違和感があった。
口から発せられる言葉が出ない。
いくら、口を開こうが声が一切でない。
それから幾度か試したが声も出ず、身体に力が入ることもなかった....
街が燃え盛り、家は倒壊している風景が幾度も続いた。
何があったのか、なぜこのような事態になっているのか。全く分からなかった。
炎からだんだん離れていくと景色が暗くなった。
辺りを見渡すと、どこかの建物に入ったのだと分かった。
ガチャッ...何かが開いた。
気づけばエレベーターに乗っていた。
壁は木の模様で埋め尽くされ、所々に金属が入り乱れ装飾している。少し高そうなエレベーター。
....チン。音がなると同時にエレベーターが止まる。
また、ガチャと扉を開ける音がした瞬間.....
ブルン・・・チチチチ・・・
ブィィィィィンッッッ!!!!!!!
チェーンソーの音が鳴り響いた。
「よっ!。遅かったね」
チェーンソーの音にかき消されたが少女の声が聞こえた。
アアァァァアアァァァ!!!
甲高い声が耳元で聞こえてきて思わず耳を防ぎたくなった。
「威勢がいいね♪」
・・・サイコー・・・
甲高い声とチェーンソーの音で周りは埋め尽くされ二人の声は全く聞こえなかった.....
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