第92話 ログイン13日目




 2度目となる、自分専用の筐体からのインである。設定は、俺のバイト中に全部琴音がやってくれてたので、全く問題なく接続出来た。特に違和感も無いし、いつもの自分のアバターである。

 おっと、何故かログインボーナスが支給されてるな。そう言えば、昨日もあったような……考えられるとしたら、新品購入の筐体でのインだからだろうか? まぁ、貰えるモノは貰っておくけど。

 品物も定番のポーション(小)瓶やらの薬品系だ、ロビーに売って貰おう。


 時間は日曜の夜8時過ぎ、妹たちも同じ部屋でログインしている筈である。向こうは今日2度目のインで、引き続き“始まりの森”をソロで冒険予定だ。

 心配だけど、手助けの類いは一切出来ないときている。


 ちなみに京悟と美樹也は、夜10時過ぎにイン予定なので。この時間のインでは、どうやっても出会えない。向こうはこのオーレンの街に、今夜向かうと言っていたのだけれど。

 ってかトンボ返りになるのかな、微妙に申し訳ない気持ちもあるのだが。保険の類いって言うのは、掛けてあるだけで安心出来る訳で。

 ベテラン冒険者の2人に感謝しつつ、それを受け入れようと思う。



「やっとインして来ましたか、待ち兼ねたですよ! 様子見インしてたせいで、5分も無駄にしちゃいましたよ……さて、今日はどこに行きます?」


 今日の予定だが、神殿の露店商品の補充のために薬草摘みに行かなくちゃね。ファーの活躍に期待だ、それから竜人化してしまったネムの動きのチェックも重要。

 まかりなりにも、昨日粘ってようやく装備が決定した人型形態のネムである。まだ動きが覚束ない所もあるので、フォローしつつしばらくはやって行くつもり。

 そうそう、追加で色々と買い足しも必要かな?


 納屋の中は、初日とは違って家具も目立つようになってきていた。机もそうだし、寝具も一応は揃っている。掛け布団も人数分は買ってあるし、敷き布団はちょっと工夫して。

 南の森で倒した白フクロウのドロップ品『賢者の羽毛』が、余りにもフワモコだった為。これを利用しての簡易ベッドは、兄妹にも竜人形態のネムにも良好だった。

 ちょっと鳥の巣チックだけど、それもまた良し。


「ちょっとお兄さん、何で無視してんですかっ! この私にほどこされた数々の恩義を無視するとは、良い度胸してますねっ……!?」


 ちゃんとした机を買えたので、随分と部屋の様相が引き締まっている感じ。それから鉢植えが、窓際に新たに増えているのも昨日との相違点である。

 何しろ植えてない種が、幾つかあって勿体無いなと感じた次第。ファーに相談してみたら、ドンと胸を叩いたので新たに幅広の鉢を購入して。

 種植えから育成まで、全部彼女に任せる事に。


 ちなみに渡した種は、幸運タンポポの種×4粒と天魔草の種×8粒である。クエ報酬に貰った奴と、始まりの森の盗賊の砦から収集した奴だった筈。

 チラッと見たら、早くも芽が出ているようでファーの育成術は凄まじいモノが。リズも手伝っているようで、今日も水中珊瑚の産み落としたアイテムを手渡して来る。

 そしてお腹空いたと、あっけらかんな物言い。


「それじゃあアイテム箱から、パンとミルク出して来な……肉と卵を焼いて、果物のミックスジュースを作ろうか。ロビー、食器出して並べてくれ」

「ほらほら、ネムちゃんの存在を思いっ切り忘れてるじゃないですかっ……!! この仔にも何か、用事言ってあげて下さいよっ」

「うるさいな、何でお前がここにいるんだ? もうそのメイド装備でお礼の清算はチャラの筈だろ、ウチのネムを開放してくれ……」


 さっきから話し掛けて来てるのは、昨日知り合ったイリアと言う娘である。容姿からして年下だろうか、釣り目ショートカットのどこにでもいる中坊って感じ。

 何故か俺の借りた納屋に入り込んで、ネムを手懐けようとしている様だけど。ネムは完璧に無表情、昨日受けた恩など忘れ去っているみたい。

 俺が食事の支度を始めると、そっちには興味津々っぽい。


 食いしん坊は変わらずなんだな、しかし見事な赤毛と双角である。竜人って種族が、どうもベースの4種族以外に存在するのは、この異世界の常識らしいんだけど。

 知らなかった俺は、ただその変化に翻弄されるのみ。このまま戦闘に連れ出して良いのかさえ、未だに判然としないのだし当然だ。

 ラマウカーンに相談したい、どこかに話の分かる精霊はいないモノか。


 取り敢えずは、昨日の終盤の試行錯誤の結果。ネムは戦闘をこなして経験値を稼げば、レベルアップが可能と判明したので。今日は薬草摘みを行いつつの、ネムのレベル上げを行う予定。

 老神父に訊いた所、南の森方面にも薬草の群生地帯はあるそうなので。慣れてるその場所に、ファーを頼りにして探索してみるつもりだ。

 その他の時間でクエでもするかな、まぁそんな感じ。


「はい、ネムちゃんスプーン持って~。ちゃんと使えますか、練習して上手くならないと駄目ですよ~?」

「…………」


 小娘はどうも、こちらの発言はガン無視する事に決めたようだ。ってか今までボッチでやって来て、流石にソロでの限界を感じたって所か?

 そこで目を付けたのが、同じくソロで裏町を堂々と闊歩かっぽしていた俺……と言うより、竜人のネムと言う事なのだろうけど。それは俺の従者だ、他人の言う事は聞きやしない。

 くっ付いて来る理由は分かったけど、さてどうしたモノか。


 構ってやってもいいけど、こちらにも琴音と言う待ち人がいる。ソロエリアに取り組み始めた妹達もいるし、他人ボッチの行動に合わせてなどいられない。

 しかもこちらの活動傾向として、否応なく裏町主体にやって行くのは必至。それら全部をひっくるめて、それで良いなら一緒に行動してやると告げると。

 イリヤは俯き加減で考えている様子、それから分かりましたと神妙な返事。


「こちもクエ依頼書掻き集めるの、もう疲れちゃってるんですよ……塔とかもソロじゃ行けないし、魔術師やってるけど本当は召喚士目指してたのに」

「ボッチは辛いな」

「軽い調子で言わないで下さいよ、本当に辛いんですから!」


 知らんがな、嫌なら元サーバとかにでも戻ればいいじゃん。そう突っ込んで尋ねた所、どうも向こうでも特定のパートナーや所属ホームが存在しないらしい。

 とんだスーパーボッチだな、コミュ症かニートっぽいなと感想を漏らすと、小娘は思わず顔を背ける仕草。……どうやらそうらしい、まぁもう突っ込まないけど。

 半泣きだもんな、ファーが何か慰めてるし。


 ネムと兄妹はそんなのお構い無しで、日に日に豪華になって行く食事に夢中の様子。パンとミルクは昨日の内に、表通りで大量に買い込んでアイテム箱に収納済みだ。

 この箱は高かったけど、生モノも腐らないし登録した人以外は開けれない機能も付いてるし良品である。他の箱と次元で繋がっていて、アイテム整理が超便利の奴はもっと高かったけど。

 今はこれでいいかな、兄妹も使う便利ボックス的な役割で。


 それでもリズの、珊瑚の収穫見せる攻撃は止む気配が無い。まぁ別に良いけどね、コミュニケーションと思って思い切り褒めてあげるチャンスだし。

 兄妹に関しては、随分と元気になって来た。露店の売り上げも苔の採集や裏町のお遣いも、ここのところ安定して生活水準も向上しているし。

 俺もそれに一役買っているので、素直に嬉しい限り。


「それじゃあ一応言っておくけど、俺がリーダーでサブリーダはファーだからな? お前は一番下っ端で、ネムと同列だ。ロビーとリズは、俺の直属の社員だから。

 この2人は戦闘とか出来ないから、ちゃんと守ってやるように!」

「ちょっと、何で私が一番下っ端なんですかっ! せめて、ネムちゃんを護衛に下さいよ……私はチョーか弱い後衛なんですからっ!!」


 知らんがな、それこそ召喚士にでもなって配下とか自分で召喚すれば良いだけの話じゃね? イリアの話では、職カードが高過ぎて買えなかったから仕方ないとの言い訳で。

 この街にはペットギルドやオートマタ工房があるので、入会してスキルをある程度伸ばせば、次の中級で取れるかもとの事なのだが。

 正直、俺には何を言ってるのかサッパリわからないと言う。


「だから、職カードは自分のアバターの関連行動次第で、次の職カードが出現するじゃないですか。従者関連のペットやオートマタの工房で修練積めば、そっち方面の職に就けるかもなんですよっ!!

 私のレベルが今、初級魔術師Lv12だから……あと8つレベル上げたら、中級になれるんですよ! えっ、本当にお兄さん、このゲーム初心者なんですか?

 ……ちなみに今のレベル、幾つなんですか?」

「レベルは28だ、初心冒険者のままだがな」


 バカですかとの突っ込みが即座に飛んで来て、サブリーダーのファーの制裁が、これまた即座に執行された。素晴らしき役職振り、イリアの頭頂にチョップしてのお怒りモード。

 こっちも色々と都合があるんだよ、しかしこの役職分担は上手く機能しそうだな。ちなみにネムは我関せずと、兄妹とジャム瓶を奪い合っている。

 これこれ君達、もう少し行儀良く食べなさい。


 ネムは本当に、まだまだ子供の所業でスプーンもろくに使えない感じ。子供と言うより、人型に慣れていないのかも。これは行儀を覚えさせるのに、時間が掛かりそう。

 この件に関しては、ファーは全く当てに出来ないよね。何せ本人が、行儀に大らかと言うか片手落ちなスタンスを示しているので。

 ここは根気良く、俺が一から教え込まないといけないだろう。




 賑やかな食事が終わって、そろそろ兄妹が露店の売り子の手伝いに行く時間。シスターが迎えに来ての、慌ただしい準備に追われる面々の中。

 俺は兄妹へと『通信シェル』を渡して、いざとなったらこれで連絡するようにと念押しする。それを見て、何故かファーも欲しがると言う良く分からないパターン。

 君は喋れないから、必要ないでしょ?


 念の為に5個ほど買っておいたので、予備はあるけどな。場所が分かったりとか色々と機能付きなのは、もう少し高かった……これは1個4000モネー、まぁ持たせて問題ないか。

 ファーはご機嫌に、自分の鞄の中に仕舞ってご満悦な表情。妖精のツボは良く分からない、まぁ機嫌が良い分には全然構わないんだけどね。

 ネムまで真似してゴネなければ、俺はそれで満足だ。


 今日は何売ろうかと催促する兄君に、今日のログインボーナスのポーション瓶やら水中珊瑚から採れた貝殻素材を渡して行く。そして思う、ちょっと寂しい品揃えだな。

 昨日渡した革装備数点は、驚いた事にものの数時間で全部売れてしまったそうだ。凄いな、ちょっと安くしたとは言え結構なアイテム数渡したのに。

 可愛いと安いは正義なのか、さて品数揃えどうしよう?


 今日の薬草摘みの結果次第では、明日以降の商品補充には目処が付く訳なんだけど。PK連中を倒して得た装備なら、結構たくさん鞄に入ってんだけどなぁ。

 シスターに訊いてみたら、それも売っちゃいましょうと意外と軽い物言いで。それで良いなら、幾らでも出資出来ますぞってなモノだ。

 怪しい名前の装備が多いが、頑張って出所不明で売りさばいて欲しい。


 本当は、裏町の宿屋の地下に流そうと思ってたんだけど、向こうもこんな半端装備は欲しく無いかも。それでも初期装備よりは数値は良いし、店売りの普通装備より上物だ。

 だけど俺が使うにしては、やや物足りない感じと言うね。だってレア種討伐や盗賊の砦陥落で、良装備をいっぱい集めて来たんだもの。

 要するに、その努力は無駄では無かったという意味でもある。


 喜ばしい事実には違いないが、当分は装備の交換は見込めないかも。それでも構わない、取り敢えずこっちは鞄の整理にとPKドロップ装備を渡して行く。

 シスターにも、出所不明でお願いしますねと念押しして。定価の2割引きで売ってくれて構わないと、値段設定を告げておく。これでもシスター、『鑑定』系のスキルを持っているようで。

 なかなかに、侮れない商売人だったりするのだ。


 そんな訳で、ニードルナイフや闇の胸当て、裏切りのナイフに泣き寝入りの短剣、忍び頭巾と隠匿いんとくのズボンなんかを売りに出す事に。ちなみに昨日の売り上げは、自分の資産とは別にしてある。

 特に深い意味は無いが、雇っている兄妹のお給金をこの中から出して行きたいし。今日も頑張って売り上げを伸ばして欲しい、こちらも薬草摘み頑張るので。

 南の森のポイントは、既にシスターから聞いて把握済み。


 取り敢えずイリアとパーティを組んで、満更でもなさそうな小娘を引き連れ東門前広場へ進む。シスターと兄妹の仕事場だ、向こうは出店の準備に忙しそう。

 こちらも昨日の競売の結果を、近くの競売所で確認などしつつ。新たに『海賊のマント』『水妖のリング』『破砕の短刀』と再び金属鎧の出店作業など。

 ちなみに昨日の3点は、つつがなく売れたそうで何より。


 そのお金を受け取りながら、ネムの装備を競売で揃えて行く。とは言っても、足りないのは頭装備と靴くらいである。後は鞄の中の余り物で、事足りている感じ。

 想定外だったのは、何と通常頭装備が竜人特有の角のお陰で装備不可だったこと。競売のお姉さんは気の毒そうに、特注しか無いかしらねぇとアドバイスをくれたけど。

 つまりは今日の分の、装備が完全に間に合わないっぽい。


「あらら、それは残念ですねぇ……でもネムちゃんの、この角自体がガード役みたいなモノですし?」

「それもそうか……それじゃあ装備渡すから、ネムの着替えを手伝ってくれ」


 小娘をパーティに招いたのも、半分はネムの子守りを手伝って貰うためだ。男の俺が、甲斐々々かいがいしく幼女の世話を焼くのも外見が悪いしな……。

 今からフィールドに出てパーティ戦をやるにあたって、俺自身のアバター強化もこなしておこうかな? 最近はスキルPを貯め込むだけで、強化をサボっていたからなぁ。

 ネムの着替えを手伝ってるイリアを見ながら、そんな事を思って。




 名前:ヤスケ   初心者Lv28   種族:ミックスB+


筋力 71(+9) 体力 75     HP 335(+212)

器用 64(+4) 敏捷 74(+6) MP 260(+26)

知力 42     精神 38(+2) SP 228

幸運 24(+10)魅力 8 (+2) スタミナ**


職業(2):『新米冒険者』Lv28

武器(8):《乱撃》《撃ち上げ花火》《四段突き》《ブン回し》《貫通撃》

      《白垂飛泉槍》《落とし突き》《Sバッシュ》

補正(5):《MP量+10%up》《防御力10%up》《集中》《体力オバケ》

      《範囲攻撃15%up》

冒険(6):『野生』『水中適正』2『地図形成』2『魔力温存』3『筋力強化』1

      『探索☆』2

武器:弓矢10P《貫き矢》《貫通撃》

  :短槍24P《落とし突き》《捻り突き》《二段突き》《四段突き》

        《白垂飛泉槍》《飛燕突き》

  :両手棍24P《ブン回し》《撃ち上げ花火》《Pハンマー》《乱撃》

         《範囲攻撃15%up》《MP量+10%up》《脳天割り》

  :盾12P《防御力10%up》《ブロッキング》《Sバッシュ》

  :投擲6P《投擲威力20%up》

魔法:『闇』25P《Dタッチ》《バグB》《Bタッチ》《影纏い》

         《Dジャッジ》《闇の腐蝕》

  :『風』19P《風の茨》《風属性付与》《風疾く》《双翼撃》

  :『光』20P《フラッシュ》《ライト》《ライトアロー》《ライトヒール》

         《Lポインタ》

  :『水』30P《清き水》《水中呼吸》《Pヒール》《マナプール》

         《アクアガード》《ポイズン》《ヒール》

  :『炎』10P《キャノンB》《Bバーニング》

  :『雷』16P《スパーク》《雷精召喚》《Mスタン》《迅雷》

  :『土』12P《ストーンウォール》《地駆けラット》《リジェネ》

  :『氷』8P《魔女の略奪》《アイスランス》

合成:『木工』3、1P

種族:『ミックスB+』(職業+1、幸運+4、器用+2、魅力-2、全耐性+20%up)

称号:『蝶舞』『猪突』『竜宮の遣い』『巨人討伐』『闇の口利き』

モネー:1、733、640

スキルP:40



 ***『新米冒険者』ヤスケ 装備一覧***


武器 :竜宮の短槍(12)  攻+15、精神+3

武器2:野蛮な大鎚(7)  攻+17、筋力+3

予備 :狩人の弓(10)  攻+12、命中率+35%up

盾  :野蛮な手甲(7)  防+8、筋力+3

頭  :竜宮の兜(10)  防+10、精神+3

上着 :飛竜のベスト(15)  防+15、耐風+25%up

鎧  :護衛の胸当て(6)  防+6、器用+2

下着 :野獣の下着(5)  防+3、敏捷+2

アクセ:野生の御守り(4)  防+2、筋力+6、敏捷+2

指輪1:清水の指輪(4)  耐毒30%up、ヒール効果20%up

指輪2:契約の指輪(-)  従者+3

腕  :霊亀の腕輪《硬化》(10)  防+10、時々攻撃反射

ベルト:狩人のベルト(8)  防+6、ポーチ×5

下肢 :疾風のズボン(8)  防+7、敏捷+2

靴  :蛙のブーツ(8)  防+6、水耐性+30%up

背中 :土蜘蛛のマント(9)  防+9、土魔法スキル+20%up

従者:妖精Lv1  幸運+6、魅力+4、精神-4

  :竜人Lv1《ブレス》

鞄:魔法の鞄(初心者用)+商人の鞄

アイテム:ポーション(大)×3、ポーション(中)×3、マナP×7、Sポ×7

    :マナポ(中)×8、ポーションP×15、ハイポP×10、聖水×5

    :万能薬×4、炎の神酒×3、闇の秘酒×3、目薬×3、闇の眼帯

    :玉手箱《天翔雷鳴》金のメダル×19、探索のコンパス『竜使い』

    :虹色の果実×12、魔石(小)×17、魔石(中)×10、闇の会員カード

    :料理キット、冒険者セット、投擲セット、夜の呼び笛、鯨の骨

    :魔除けの香炉、憩いの香木×2、時の狭間の香木×10《閃光斬》

    :大猪の毛皮、逆巻きの風呂敷(6) 、還元の札×7、水と氷の香木

    :幽霊の呼び水、骨工ギルドの推薦状、魔力の核、首領の大斧

    :闇蝙蝠の牙、盗賊の呼び水『竜宮の遣い』魔力の大骨、月の滴

    :旅人のマント、白い甲羅《闇の断罪》天使のベール、理力の杖

    :隠者の呼び水、野蛮な大腿骨、盗技石×15、充魔の勾玉×7

    :森狼の毛皮、奇妙な頭蓋骨、転換の札×3、飛び出眼、賢者の杖

    :『妖精使い』木工ギルドの推薦状『猛獣遣い』輝く鱗、妖しの鞭

    :海豹の呼び水、三色珊瑚、宝の地図×4、鯨の髭×2、暗塊の杖

    :ヒドラの鱗、ヒドラの生肉、飛竜の骨、金魚の切り身、闇の蛭瓶

    :革製の鞍、豹柄のマスク《爆炎武砕》《光臨爆讃》星の涙×2

    :クールな下着、波紋のロッド



 昨日で28へと上がったレベルだが、残念ながら装備の変更は無し。街の防具屋をチラッと覗いた限りでは、手持ちより優秀な防具は売って無さそうな気配。

 それは武器も同じである、少なくともステアップ付きの武器など皆無と言って良い。同級生の話では、それは中間の街でも同じ仕様らしく。

 新調するのは大変っぽい、やはり合成なのかねぇ?


 それに引き替え、スキルPは我ながら潤沢である。とは言えさすがに50以上とか、貯め過ぎにも程があるので。今回思い切って色々と使ってみた、結果スキルが異様に増えた。

 まずはメイン武器の両手棍と短槍、両手棍の新しいスキルは《脳天割り》と言う名前だ。振り下ろしの思い一撃で、当たれば詠唱阻害のBステータスも生じるとか。

 でもまぁ、スロットに入れる余裕は無いよね。


 短槍の新スキル技は、もう少し格好良くて《飛燕突き》と言うらしい。下方からの突き上げ技で、丁度《突き落とし》とは正反対の軌道を描くみたいなんだけど。

 こちらも使う予定は、今の所全く無し。


 スキルPが上がった事が、最大の補強だと思う事にして。お次は魔法だ、こちらも雷魔法を中心に結構な数増えた。雷呪文は2つ、後は光と土が1個ずつだ。

 雷魔法に関しては、この2日間のお付き合いのお礼にと、二の字に鞄に余っていた《秋波斬り》と言う片手剣スキルを贈与した所。お返しにと、雷呪文の《迅雷》を貰って。

 実はお別れ前に、そんな遣り取りを挟んでいたのだ。


 この《迅雷》と言う呪文、その名の通りにアバターの動きが一定時間素早くなる効果があるっぽい。風魔法の《風はしり》と違うのは、完全に戦闘仕様だと言う事。

 もう1つは《マインドスタン》と言う、PKがドロップした呪文だ。敵1体を一定時間だけ麻痺させる感じらしく、レジさえなければ使えそう。

 詠唱時間が短い分、闇魔法の《Dジャッジ》よりは便利かも。


 もっとも、そっちは範囲魔法だから敵に囲まれた時には物凄く頼りになるのは間違いない。PK集団相手には、毎回お世話になってるしね。

 要は使い処を間違わないように、それさえ気を付けて運用すべし。


 最後の2つ、土魔法は《リジェネ》と言う回復系の呪文を覚えた。これもPKドロップで、使い勝手が良さげだったのでポイントを振り込んだ次第。

 回復は水魔法にもあるけど、この《リジェネ》は一定時間、数ポイントずつ回復して行く系である。その説明文を読んで、2種類使い分ければ便利だなと思った次第。

 HP管理は、延命に直結するからね。


 残った光魔法は、何と《レーザーポインタ》と言う名の便利魔法。ちょっとがっくりだが、迷子予防や位置を他の仲間に知らせる際は便利との説明文である。

 《清き水》に続いての戦闘外魔法だが、一定数は必ず出現すると琴音も言っていたので気にしない事に。どこかで役立てば御の字だ、その程度の認識でいよう。

 魔法に関してはこんな感じ、後で使い勝手を調べなきゃね。


 他の突っ込みどころと言えば、従者のネムの欄とか所持金額とか色々あるけど。もはやHPとかも、言い訳も出来ない様なトンデモ数値に肥大化してる。

 鞄の中に転がっている、幾つもの複合技の書とかもね。考えてみれば、まだまだひと財産稼げるアイテムが、鞄の中に眠っている訳だ。

 換金するつもりは無いけどね、今の所お金に困ってはいないし。


 そもそも一番の突っ込みどころは、未だに職替えしていない点に尽きるのかも。こちらは琴音がゲームに復帰するまで、待つと誓いを立ててはいるのだが。

 次にどの職になろうかなとか、全く想像が付かないのが辛い所。バランスを考えるなら前衛職かな、その程度のプランしか思い浮かばないと言うね。

 う~ん、本当にどうしようかなぁ。





 ――ファーさん一押しの『妖精使い』って、前衛だっけ?






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る