山下美月のスケバン刑事が見たい

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第1話 山下美月編

「秋田書店の『月刊プリンセス』で『スケバン刑事』がリメイクされたらしいよ」

「へぇー、そうなんだ。ところで、スケバン刑事って何?」

「スケバン刑事は1975年から1982年まで白泉社の「花とゆめ」に連載されていた和田慎二の漫画だよ。1980年代にはドラマ化もされている。初代スケバン刑事麻宮サキが斉藤由貴、二代目が南野陽子、三代目が浅香唯」

「もともとは少女漫画だったんだ。で、どんな話なの?」

「スケバンだった麻宮サキが、母親の死刑執行をやめさせるために学生刑事になって、悪と戦うという話」

「「スケバン」っていうのが、昭和を感じるね」

「不良の女の子のことを当時はスケバンって呼んでたんだ。でも、反体制と体制をくっつけたスケバン刑事っていうネーミングは秀逸だと思うよ。これを超えるものは「天才バカボン」ぐらいしか思いつかないもの」


 1970年代の日本は、戦後長く続いた高度経済成長も終焉を迎え、一億総中流化社会、皆と同じことを良しとする没個性の時代に入った。

 若者が孤独感、焦燥感、不安感を抱くのはいつの世も同じだが、オイルショックによるスタグフレーション(不景気だが物価が上昇すること)の最中、当時の若者が殊更に日本の未来、自分の将来に対して大きな不安を抱いていたのは間違いない。

 そんな時代にスケバン刑事麻宮サキは登場した。


 コロナ禍の現代においては、失業者、休業者の増加、物価上昇に伴う実質賃金の低下により、国民の不況感、不景気感は日毎に強まってきている。いつ終わるともしれない不安や焦燥、この閉塞感から早く開放されたいと願う感情はオイルショックやリーマンショック等の比ではないはずだ。

 そんな時代だからこそ、人々はヒーロー(ヒロイン)の顕現を待ち望んでいるはずだ。

 それは、昭和ならヒーロー(男性)だっただろうが、令和の今ならきっとヒロイン(女性)に違いない。


 今、スケバン刑事麻宮サキを演じるなら山下美月しかいないとわたしは思っている。

 桜の代紋のヨーヨーを掲げ、啖呵を切りながら敵を目で射殺すような山下美月の姿が実際に見たかのように鮮明に浮かぶ。


 初代の斉藤由貴の気高さ、二代目の南野陽子の美しさ、三代目の浅香唯の強かさ、全てが今なお愛おしく思える。そしてその系譜に当代随一のアイドルである山下美月が名前を連ねてくれるなら最高に素敵だ。


 わたしはアニメも漫画も大好きだが、それ以上にアイドルが好きなのだ。

 だから、今、山下美月のスケバン刑事が見たい。

 山下美月の美しいセーラー服姿が見たい。

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