情報の海を泳げ
@qavion
あくる日の朝
目が覚めて、時計を見ると、出勤時間の10分前だった。
別に寝坊したわけじゃない。
いつも通りだ。
私は週5日、フルリモートで働いている。
入社初日からリモートワークだった。
最初の頃でこそ、同僚や先輩と直接話せないことに不安を覚えていたような気もするが、今ではもう慣れきってしまい、出勤時間のギリギリまで夢の世界にいれることに感謝をしている。
突然出勤しろって言われたら激しく抵抗するだろう。
まあ私にそんなに強い権限はないし、そもそもリモートワークが無くなることは当分ないだろうが。
私は寝ぼけ
起動シーケンスを待つ間に洗面所に行き、顔を洗う。
とはいえ仕事で使っている会社支給のパソコンは最近のものだけあって起動は一瞬だ。
電源ボタンを押してから洗顔にいくのは癖のようなものだ。
日々の変わらないルーチンの一つだ。
自室に戻り、パソコンに顔を向けてロックを解除する。
便利なものだ。
手を触れることすらせずにログオンが完了する。
「さあ始めるぞ。」というような気概もなく、ぬるりと仕事を始める。
まずはメーラーを立ち上げてメールのチェックから。
少し下にスクロールし、未読のマークが付いたメールを古い方から順に見ていく。
タイトルを見て、自分に関係のなさそうなメールはクリックだけして未読マークを外していく。
いくつかの自分に関係のないメールをタイトルだけ見て読み飛ばしながら上へ、最新のメールへと近づいていく。
昨日は仕事のキリがよく少しだけ早く上がったこともあってか、未読メールはいつもよりも少しだけ多かった。
けれど、自分にタスクが振られる類のメールは見当たらない。
たまに上司から突然面倒な仕事が言い渡されることがある。
そういう仕事は大抵納期が近く、自分の立てていた予定を大きく狂わされる。
私は、今日も本来の業務を進められそうだなと思いつつ最後の未読メールに目を向ける。
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