第9話 9.シュールト公爵家side (追放者side)

遂に!遂に!あの邪魔者が居なくなった。

レルト王子もよくやってくれたものだ!

血が繋がっているわけでもないのに育ててやってはいたが、正直もう飽きていたからな。

しかし、さすがは聖女の娘。

学校での成績は常にトップであった。

そこが実に面白くないところだったがな。


きっとマルリはいなくなっていることであろう。

生まれてこのかた貴族として生活してきたのだ。

誰の助けもない平民としての生活ならばもうのたれ死んでいるであろうな。


「シュッシュールト様!国王から手紙が!手紙がやって来ましたぞ!」


「それがどうした。いちいち喚くでない!」


全くうるさくてかなわん。

もうちょっと大人しくできないものなのか


「ほれ、渡してみろ」


「ハッ!」


一体何用だ?

婚約破棄の詫びか?

やはり王族はとても気が利くものだ。


「なっ⁈なんだこれは!」


「どうしましたか?」


「マルリに貴族としての位を返還し、王の前に連れていけだと…?どうしてだ!どうして…クッソ!」


どうして王族があいつを気にかけるんだ?

聖女の娘だからか?だとして一体なんの価値があるのだ?

あいつは娘であり、聖女ではないと言うのに!


「シュールト様!さらに王から言われた事があります!」


「なんだ?」


「5年後までに連れて来なければ…爵位剥奪だと…」


「は…?」


爵位剥奪だと?

どうしてそこまでのことをされなければいけないのだ?

だが爵位剥奪だけは回避しなければ!


「おい!これからマルリ捜索を始める!手の空いている者をかき集めてこい!」


必ず見つけ出してやるぞ、マルリ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る