第15話 雪崩 (かつての投稿時テーマ 白色)

(僅かにお下劣エロ入りおふざけ怪談です)


 天空まで澄み切った青空だった。

 俺は新雪の中を麓へと急いでいた。

 急に、あらぬ方向から風か吹き抜けた。

 嫌な感じがして山頂方向を見やった。

 最初、俺はそれを山向こうで湧いた真っ白い雲だと思った。

 しかし、それは迫りくる雪崩の上に舞う雪煙だった。

 俺は身を屈めると、ピッケルを深々と突き刺し、それに抱きついた。

 これで助かったら恩の字だ。

 数瞬ののち、雪崩が俺を襲った。

 雪崩は暖かかった。そして柔らかく、心地よかった。うつむいていた顔を僅かに上げ、薄眼を開けた。

 無数の白い女の手が、俺の身体を撫でて行っていた。

 うふふふっ、女の艶っぽい声が聞こえた。

 その瞬間、いくつかの女の手が俺の指に掛り、ピッケルから引き剥がそうとしてきた。

 俺は必死に耐えた。ピッケルにしがみつき続ける。

 次の瞬間だった。女の手が俺の股間を握った。優しく、心地よく、あそこをもみあげてきた。

「うっ」

 俺は絵も言われぬ快楽に全身から力が抜けた。

 ピッケルが遠ざかっていく。

 慌てて手を伸ばすが、もう届かなかった。

 俺は流されながら、冷たい視線をした目を見つけた。

 俺の耳に女の声が届く。

「小さいのね」

 それが俺の最後の記憶だった。

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