『切り身の主張』

やましん(テンパー)

『切り身の主張』

  『これは、フィクションであります。』



 『みなすわん。ぼくは、おさかなの切り身です。じぶんが、なんの魚なんて、わかりません。しかあし、このようなことが、許されてよいのかあ。』


 『今日のあさまで、ぼくは、ひろおい、海を、自由に生きていたのです。ちっちゃなお魚を食べながら。それも、ちょっとだけです。』



 『それが、なんと、いまは、切り身の身の上。目の前には、いかにも、生きるのが、だるそうな、伏し目の、気持ち悪い、やましんさんだ。妖怪みたいな。このようなことで、よいのでしょうか。』



 『いいや、良くない。ばくっと、いっぱつでゆくならともかくも、切り開いてばらばらに、するなんと、残酷だあ。しかも、さとうや、醤油や、みりんや、みそや、塩や、いっぱいすりこみ、はては火炙りとは、まさに、残虐非道の限りである。』



 『ぼくは、うったえ、たい。このような、魚権を踏み煮汁行為は、許されなあい!断固反対するう。あ、あ、喰われた。うらめしたい。呪ってやるう🔥』



 やましん


 『ぎわ! うわあ。たいへんだあ。ほねが、のどに、刺さった。鯛の骨は、たいへんだあ。このたいへんだ。たいへんなへんたいだあ。いたあ・・・・・病院いこ。』



 鯛さんの、恐るべき祟りによる反乱に倒れた、やましんなのである。




       🔥👻🔥

       ____

   

 




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『切り身の主張』 やましん(テンパー) @yamashin-2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る