最短経路が、迷宮だった件について
オオムラ ハルキ
難問
「ねぇ、京ちゃん」
「何?」
「この中だったらどの子が可愛い?」
「…なに急に笑。」
「いいから、早く早く。直感でさ。」
「うーん…。右から2番目の子かなぁ。」
「…ふーん。なんで?」
「何でって…直感だよ直感。」
「でも、今までの彼女の系統もこんな感じだったよね、京ちゃん?」
「…うっ。…まぁ、その、なんだ、その、タイプなんだよ。そういう感じのが。」
「でもさ、見た目はみんなおんなじ様な感じだったけど、中身はバラバラだったよね。」
「…!?何でそこまで知って………あいつ梨花にそこまで話してたの?」
「うん、お兄ちゃんちょろいから笑。」
「……本当にまじで口軽すぎだろあいつ。」
「違うよ。お兄ちゃんは私のことが好きなだけ。ただの重度のシスコン野郎だよ。」
「………あ、うん、確かに、そう、だな。」
「やっぱ、可愛いって最初に思ってから付き合うってことはさ、付き合う決め手は見た目なの?」
「…まぁ、否定はできないよね。」
「歴代彼女さんたちの中にはさ、後輩さんも先輩さんもいたけど、彼女としてのイメージはあまり変わらなかったわけじゃん?」
「うん、まぁ、そうだね。」
「私思うんだけどさ、イメージはそこまで変わらないにしろ、個人としてイメージの範囲内でも合うものと合わないものがあるはずなのよね。」
「おっ、急に難しい話をし出したぞ。詳しく、詳しく。」
「だから、例えば、洋服とかも”ゆるふわ”っていう京ちゃんの好みのタイプの括りの中で後輩さんだったらあざと可愛く短パン多めとかさ、先輩さんだったら大人っぽく露出多めとか、そういう細かな違いがあるはずだと思うって話。」
「あー、まぁ、確かにそういう節はあるかも。でも、似合ってなかったら無理して着てるのかなぁとか思う時あるよ。」
「無理して着てるって例えばどういう時に気づくの?」
「そりゃ、ぱっと見で気づくよ。」
「えー、そういうものなの?」
「うん、そういうもの。色とかさ、髪の感じとか、あとはまぁ、普段の性格的にも…っていう感じ。」
「それ、普通にもう個人の感覚じゃん笑。難しすぎるでしょ笑。」
「まぁ、でも、そういう俺のイメージを無理に押し付けてるわけじゃないよ?」
「そうは言ってもさ、やっぱりそういうイメージに寄せないと京ちゃんは好きになってくれないわけじゃん?」
「…そこら辺は、まぁ、考えようだなぁとしか言えないね笑。あと、見た目とかも含めてそういうのって経験してきたことによってずっと変わっていくものだから、似合わせるとかいうのは無茶なんじゃないかとも思うよ。俺もモテるわけじゃないし。」
「歴代彼女さんたちはすごいってことだね。これは難問すぎるわ笑。」
「あー、でも、今日の梨花の服とかあとメイクの感じ?とか結構好きだよ。」
「…まぁ、それは寄せてるからね、京ちゃんのタイプに。」
「え?」
「…いや、別になんでもない。これは、その何というか、そう、市場リサーチよ!」
「…?」
「お兄ちゃんに言ったらなんて言われるか分からないから、自分で聞いてるだけっ。別に深い意味はないわ。」
「え、それって…。」
「と、とにかく、この話はおしまい。私も、もうちょっと自分磨きしてみるから。ゴール目掛けて迷走するわ!」
「ねぇ、それって…。」
「お、おしまいったらおしまいなの!」
最短経路が、迷宮だった件について オオムラ ハルキ @omura
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