劉裕122 永初諸詔1  

ここからの詔勅は、やや文章が短いものばかり。そして相変わらず背景が見えづらく、難しい。このあたりは宋書の礼志とか晋書の刑法志と参照し合えば見えてきやすいものもあるんでしょうかねー。



○閏月壬午朔詔


晉世帝后及藩王

諸陵守衞 宜便置格

 晋朝の皇帝や皇后、

 あるいは庶王の陵墓を守る

 守衛については、

 引き続きの配備をなす。


名賢先哲 見優前代

或 立德著節

或 寧亂庇民

墳塋未遠 並宜洒掃

 また前代の際立った賢人哲人、

 また徳や節度の顕彰、

 乱を収め、民を守った者の功績も

 未だ遠きものではない。

 併せてよく清め、管理せよ。


主者具條以聞

 管理担当者は、

 これらの命令を守らせるため、

 定期的な報告を受けるようにせよ。



○辛丑詔1


主者 處案

雖多所諮詳

若眾官命議 宜令明審

 現在、各管理部門の責任者は

 多くの検討案件を抱えている。

 その上で、多くの部下に命令、

 審議をもたらさねばならぬ。

 これらに用いられる書類は、

 明確な基準の下監査されねばならぬ。


自頃

或總稱參詳 於文漫略

 しかし近日、監査の経緯は

 略式で記録されていることが多い。


自今

有厝意者 皆當指名其人

所見不同 依舊繼啟

 よってここより先は、

 これら監査の経過を

 発言者の名入りで記録せよ。

 見解が相違する場合には、

 検討を継続せよ。



○辛丑詔2


諸處冬使 或遣或不

事役宜省 今可悉停

 現在冬季に派遣される使者については、

 派遣されたりされなかったりであるが、

 その職務を減らすべく、

 これをすべて停止とする。


元正大慶 不在其例

 ただし、正月の慶賀を告げる

 使者のみは例外とする。


郡縣遣 冬使

詣州及都督府 亦停之

 各郡県から州府、都督府に派遣する

 冬期使者も、やはり停止とせよ。




閏月壬午朔,詔曰:

「晉世帝后及藩王諸陵守衞,宜便置格。其名賢先哲,見優前代,或立德著節,或寧亂庇民,墳塋未遠,並宜洒掃。主者具條以聞。」


辛丑,詔曰:

「主者處案雖多所諮詳,若眾官命議,宜令明審。自頃或總稱參詳,於文漫略。自今有厝意者,皆當指名其人;所見不同,依舊繼啟。」


又詔曰:

「諸處冬使,或遣或不,事役宜省,今可悉停。唯元正大慶,不在其例。郡縣遣冬使詣州及都督府,亦停之。」


(宋書3-15_政事)




二つ目の詔、三つ目の詔が興味深い。いや二つ目については例によって意味がよく取れないんだけど。色々ずさんだった指示書類の監査を厳密にさせた、って理解でいいんですかね。そして三つ目に出てくる冬使って表現、ここ以外だと漢書中で顔師古がちらっと使ってるくらいしか用法が見えないんだよなぁ。「基本的にいつでも地方と中央では使者が行き来してるけど、冬期はいろいろ危ないので正月以外の行き来をやめにしておこうね」的な感じなんでしょかね。

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