蜘蛛女について、弟からの電話
夕方、夜ご飯を作っていると弟の
「洋ちゃん何してんの?前に言ってたやつ、聞いて欲しい話があってさー!」
心霊体験を鬼のように持つ弟にメールで不思議な話を聞きたいと連絡していた事を思い出す。
「ちょっと待って今、
電話をスピーカーに切り替え、たっぷりのオリーブ油で大きめに切った茄子とベーコンをフライパンで炒めながら応える。
「何作ってんの?シェフ洋ちゃんは。」
「茄子のボローニャ風、チーズ山盛りで食べたくなってな。お見舞いするぞ!馬鹿野郎!」
「いいねえ、ニンニク多めにしても美味いねえ。」
「うむ、それはとても美味しいものだ。」
熱々の料理をテーブルに持って行き缶ビールを開ける。火傷しそうなベーコンと茄子を濃いめのミートソースそしてチーズに絡めて頬張りキンキンに冷えたビールと一緒に流し込む。腹が減っていたので今日のは格段に美味い。
一息ついた所で潤の話を聞く事にした。
飲まないと怖くて話を聞けないなと思い、酒を買い置きしていなかった事を後悔する。
弟が言うには家に蜘蛛女が出たと言う。
驚いて僕は言った。
「それってさ俺が面白いって勧めたデスウォークって漫画の最後に載ってた話みたいな感じ?」
「そうそう、言わなかったけどその漫画読んで似てたからビックリした、俺の話はあれ読む前に起きた事だから刷り込まれたとか影響は受けてないと思うんだけど。
俺家買ったろ?引っ越す前にその家の床の張り替えを自分達でしたのよ。その初日、一人で貼っててさ、仕事終わりもあって疲れたから仮眠を取ったんだ、何もない部屋で。
そうすると夢を見た。
和服を着た、上手く言えないんだけど下半身が蜘蛛?みたいな女が出て来て『入ってくるな』と恨めしそうな目でこっちを見ている夢。」
ビールを飲みながらその女を想像して異形さに空恐ろしくなる。
「変な夢だと思ったんだけどそれから程なく家族5人で引っ越した、1ヶ月後くらいかなあ、朝俺が仕事をしていると嫁から電話がかかって来てさ、手が離せなかったから一度目の電話を取れなかったんだけどそれからずっと鳴り続ける訳、流石におかしいと思って電話を取ると明らかに
『おっきな蜘蛛!人の顔した蜘蛛が沢山いる!おっきな蜘蛛が沢山いるの!怖い!怖い!』って泣き叫んでテーブルから降りて来なくなったの、勿論そんなのどこにも居ないしどうしたらいい?って言われたよ。
出来るだけ早く帰るからまずはひーちゃんを落ち着かせよう、と言って電話を切った。
その時俺は夢で見た蜘蛛女の事を思い出したんだ。」
「直感で思ったんだけどさ、俺達が住んでいる家は蜘蛛女が巣食っている場所だったんじゃないかって。それから俺運気凄く下がったじゃん?事故ったりとかその他も色々あったし。」
ここ数年の潤を思い出し夢は蜘蛛女からの警告だったんじゃないかと僕は思った。
「それでさ、いつの頃からか家に小さな蜘蛛が沢山出る様になった、益虫だから殺さないでいたんだけどあれは蜘蛛女の子供だったのかなあ、今はひーちゃんも人蜘蛛が出るって言われなくなったしこの通り会社から独立して良い流れが来てるからもう影響は受けてないと思うんだけれどあの時期は本当にきつかった。」
と潤は笑った。
*
なかなか興味深い話を聞かせてもらった。
余韻に浸った後、お返しに僕は最近スマホで動画を撮っていたら女の声が入った話をしようと考えていた。
「ごめん洋ちゃん!晩飯出来たからもう終わらなあかんわ、最後に一つだけいいかな?後ろでさっきから女が咳払いしてるけど誰かいる?」
そのまま電話が切れた。
もちろん家には僕一人しかいなかった。
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