第19話



 学校では花音とは別のクラスのためここでお別れになる。


「じゃあまたね!」


「はいよ」


 短い会話で終わらせた俺は、いつも通り、クラスに入る。


 まあ、変に昨日マラソン出たかのような疲れた顔でクラス入っても気を使われるだけだしな。いつも通りに過ごすのが一番いいだろう。


「あ、尊じゃん、おっはー!」


「おはよ」


 挨拶を返すと……


「あれ…ちょっとイケメンになってる…?」


 目を細めながら顔を見てくる。まるで視力検査をしている時みたいだ。


「いや…そんな一日で変わるわけねぇよ」


 と言うとこちらを見ながら考えこむような口調で話す。


「まあそうだけどさ……うーん……」


「まあじゃあ」


 といい放つと自分の席へ向かい座る。


 あっぶねぇ……変に疑われるの嫌なんだよなぁ。もしかしたら今日はずっとこんな感じかもしれないよな…


 と、内心焦りながら準備を終える。

 残った時間はたまぁに使っている机の上で寝たフリ戦法で時間を潰した。



 ◇◇◇


 放課後


「よっし!やっと終わったぜ…」


 独り言を言う。周りも放課後になるとやはり嬉しいのか、少しテンションが高くなっているように見える。


 ってか今日はずっとぼーっとしてたなぁ。まあぼーっとしてても不自由なく過ごせたからいいけど。それに、特にあれからずっと寝たふりしていたおかげで何もなくて良かった。


 そしてまあとりあえず家に帰ろうと学校を出て家まで歩く。


 家まで歩いてると振動音がなる。


 スマホの着信音だ。


「ん……誰からだ……?」


 と急ぎながらスマホを開く。スマホを開くと

 七瀬美音と映し出されていた。


「前に助けた人からだ……」


 そういいながら応答する。


「あ、もしもし」


「もしもし」


「急に電話しちゃったけど大丈夫?」


「はい、全然大丈夫ですよ」


「あのー急にいっちゃうんだけど昨日のお礼したいから今から会えるかな…?」








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る