マフィアの日常戦線

花道優曇華

第1話「君が後継者だ」

現在の日本、表で活躍しているのは警察や自衛隊だ。

だが彼らだけでは抑えきれない存在もいる。そんな犯罪者に対抗しているのが

日本を拠点としているマフィアだ。フィオーレファミリーというマフィアの本場

イタリアでも名前が通っているマフィア。現在は日本人がボスを務めているが

彼が数人の幹部を集めてあることを伝える。


「俺は、ボスを退任することにした。もう爺だからな。だが安心してくれ

後継者は既に存在する」


彼等に名前を伝えた。兎澤美月、彼の実の孫だ。老人、卯月は美月を呼び出した。

彼女がやってきたのは1時間後。祖父の家に到着した美月は目を丸くする。

見慣れないスーツ姿の男が集まっているでは無いか。


「覚えてませんか?お嬢」

「…ッあ!飛雄馬!」


久恵ひさえ飛雄馬ひゅうま、彼は美月と同い年だ。そして孫が大好きな

卯月は彼を同じ学校に行かせた。元より美月に自分の跡を継がせるつもりだった。


「久しぶりだな、美月。俺はな、マフィアのボスだ」


静かに卯月はそう告げた。


「単刀直入に言う。跡を継いでくれ」

「え、無理かも」

「早いな、断るのが…」


飛雄馬も苦笑していた。


「だってマフィアとか、知らないし…」

「大丈夫だって。じゃあ任せたよ」

「あ、ちょっと!ちゃんと説明してよね、お爺ちゃん!!!」


その言葉も聞かずに祖父はそそくさと部屋を出て行ってしまった。

長い溜息を吐いた美月は飛雄馬のほうを見た。


「普通に暮らしてれば良いんじゃね。何かあったら出席して、分からなければ

誰でも良いから聞けば良いし」

「そっか…うん、そうだね。そうしよう!」

「あ、だけど先にお嬢には説明しなきゃいけねえよな。フィオーレファミリーの事」


美月は今まで何も知らなかった。なので簡単に飛雄馬が説明をした。

幹部の人間は二つ名を持っている。花の名前だという。飛雄馬は持っていない。

フィオーレファミリーは裏社会を抑制する立場にあるという。

自警団のような存在。


「飛雄馬、継承式について話したほうが良いんじゃないのか」


そう指摘したのは【ロート】の愛宕音也だった。彼にそう言われて

飛雄馬は話し出した。というか紙を見せた。


「フィオーレファミリーの継承式は6ヶ月後。それまで気を付けろよ、結構デカい

ファミリーの後継者ってのは狙われやすいから」

「いや、どうやって気を付けろと…?」

「ここに泊まっちゃえばいいんじゃない?」


音也の提案。ここは拠点であり、安全でもある。新たなボスになるのだから

住居にしても良いのではと言う事だ。折角だから、その言葉に甘えることにした。


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