終わり、そして始まる

和泉秋水

第1話

 終わればそれで本当に終わりなのだろうか。否、僕は終わりは別の何かの始まりに過ぎないだと思う。

 何かが終わる。そしたら別の何かに新しく取り組み始める。

 世の中大体そんなもんではないだろうか。


「これで完結っと」


 僕は最終話となる話を投稿して思う。

 僕はあるサイトでWEB小説を投稿している。それは処女作で思いつきから始めたものだったが、次第により夢中になった。投稿開始から2ヶ月が経った今日、十万字弱の物語を完結させることができた。反応は上々、処女作にしては十分過ぎるほどの反応ではないだろうか。

 僕は書きたいものを書けて満足だ。しかし先程思ったように終わりは始まりでもあるのだ。だから処女作が終わっても次を描き続ける。第一の目標は書籍化、第二の目標は二作目となる書籍を出すこと、第三の目標は書籍を出して小説家として活動しつつ生きていくことだ。

 僕はそのために二作目を書き始める。


 ◇◇◇


 あの後、処女作は完結ブーストもあってランキングに乗り、書籍化が決まった。僕は第一の目標を早くも達成することができたのだ。そして僕は今、二作目を書きつつ、書籍化した作品の原稿を書いている。修正したかったところを修正し、加筆をして良い作品を書き上げた。一巻で完結となる作品なので重版がどうこうとかはあまり気にすることではないがやはり売れれば嬉しい。

 そして処女作が発売される。偶然にも処女作の発売日は二作目の完結と同じ日だった。ちなみにこの時にはすでに二作目の書籍化も決定しており波に乗っている。

 この時点で既に第二の目標も達成できてしまった。書籍化なんてできるとしてもまだまだだと思っていたし、二作目もできたらいいなとしか思っていなかった。しかしまだ終わりではない。第三の目標の始まりなのだ。

 三作目は二巻、三巻と出せるような十万字以上の長編にしよう。

 そうして僕はまた書き始める。


 ◇◇◇


 僕には物書きの才能があったのかもしれない。

 WEBにあげた処女作は書籍化し、二作目も書籍化し、三作目も書籍化して更にコミカライズもした。今、四作目も同時進行で連載中であるが書籍化するだろう。大波に乗っていた。もう大分満足した。第三の目標はほとんど達成されつつあった。

 しかし僕は決めたのだ。書き続けると。終わっても次を始める。満足してはいお終い、ではなく終わっても次を始めた。そのおかげで今まで成功して来たのだ。

 そうだ目標にアニメ化を追加しよう。いつかきっとアニメ化できるようにと僕は書き続ける。


 ◇◇◇


 やはり僕には才能があるようだ。あの後書籍化した四作目は順調に売り上げを伸ばしていき百万部を突破、一巻発売から1年が経った今日、ついにアニメ化が決定した。同時に五作目も書籍化しているし六作目も今書き始めている。順風満帆だ。むしろ順風満帆すぎるかもしれない。いつか大きな事故に巻き込まれそうで怖い。


 僕はWEB小説投稿サイトにあるエッセイを投稿することにした。僕がいかにして成功したのか。それは終わりは新たな始まりであるということ。このエッセイが誰かを変えることができたらいいなと思いを込めて。

 エッセイのタイトルはこうしよう。


『終わって終わりなら二流、終わって始めたなら一流』

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終わり、そして始まる 和泉秋水 @ShutaCarina

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