7人の不登校美女更生プログラム
伊崎光波
第一週目 日曜日
「お兄ちゃん、いらっしゃい!」
無邪気な妹の姿。今年で中学2年になるはずだったこいつは事故で負った怪我のせいで学校に行けていない。それでも、こうしていつも俺を困らせないように笑っている。
こいつの名前は村山日向。明るく無邪気な性格で、今も差し入れのお菓子を嬉しそうに口いっぱいに方張っている。気遣いもできて、優しくて、頼りになる、俺なんかにはもったいない妹だ。
でも、だからこそ俺はこいつに恩を返さなきゃならない。こいつの医療費を稼ぐため不良をやめ、今は勉強に勉強をして大学の推薦を狙っている。
しかし昨日の校長との面談で問題が起きたのだ。というか完全に自業自得なのだが、学力が足りていたところで元不良という前科のせいで推薦は受けられないと校長から言われてしまったのだ。なんでもするからどうにかしてくれと頼むと、校長はとんでもない提案をしてきた。それは、中間一貫校のこの学校内の不登校六名を全員学校に通うようにすることだった。それが、難しすぎることは身をもって知ってしまっている。なぜなら、自分がそうだったからだ。他の人に何を言われたって、説得されることはまずない。
「なに難しい顔してるの?お兄ちゃん」
「いや、ちょっとね…」
日向がしつこく聞くので俺は渋々今の状況を話した。
話を聞くと日向はわざとらしく考えるポーズをしながら言った。
「なるほどねー。でも、お兄ちゃん経験あるんだし話してみるだけ話して見ればいいんじゃないかな?」
日向はこっちを向いてにこっと笑う。
「それにお兄ちゃんそういう説得うまいじゃん!」
という、日向の説得の元、俺はやってみるだけやってみることにした。
ところが次の月曜日…
「俺が家までいくんですか?!しかもくるようになるまで毎週??」
「ああ、そうだ。それぞれの生徒の住所や名前をまとめたプリント、しっかり確認してから行ってくれ。それからもちろん個人情報の流出はするなよ。じゃあ、良い報告待っているよ。」
それから俺はとぼとぼ歩きながら、月曜日に行くべき家へ向かう。
そして、家に到着するとさらに衝撃的なことが待ち構えていた。
「なんじゃここ!?城かよ!デカすぎんだろ!!」
俺が行かされた家はとんでもない豪邸だったのだ。
入り口付近でウロウロしながら、ここにいる不登校の名前を確認する。
「咲本美月って、あの咲本グループの長女じゃん!俺、もう死んだわ…」
それでも、引き受けたからにはやるしかない。
俺は覚悟を決めてチャイムを押した。
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