第27話
エウロペ・ティリスの護衛任務が始まってから、三日目。
その間、驚くほどになにもなかった。
何人かの刺客を倒したりはしていたのだが、転生者がどうだとかスパイがどうだとか、そういう面倒なことはなにも進展しないままに、三日目を迎えてしまったのだ。
予定していたスケジュールには何一つ従わず、お姫様の気分次第で移動したり食事のメニューが変わったり。
狙われているというのに普通に人が大勢いるデッキの上まで出るし。海の上だから狙撃の心配はないものの、人混みの中だとそれだけ敵も動きやすくなる。
実際、エウロペの視界に入らないところで織と愛美、桃の三人は何名かの敵を始末していた。
「本当勘弁して欲しいわ……」
「逆に今までよく生きてこれたよね……狙われることに慣れてると思ってたら、まさかこんなに不用心だとは思わなかったよ」
「お疲れさん」
護衛にあてがわれた部屋で待機している三人。愛美がベッドに身を投げ出して、桃は椅子に腰を下ろし机に突っ伏していた。
主に敵の排除の実働に動いていたのはこの二人だ。大体が愛美の一般人には視認できない動きと桃の暗殺特化魔術で、周りに気づかれないよう対処していた。
織は探知に全力を割いていたので、直接手を下したわけではない。
備え付けの電気ポットでお湯を沸かし、紙コップ二つにお茶を淹れてやる。
「あーいうのは得意じゃないのになぁ……緋桜がべったりなのはやっぱり断っとくべきだったよ、織くん」
「まあ、完全に緋桜さん向きではあるな」
「隠密とか向いてないものね、私たち」
愛美は相手の四肢とか首を派手に飛ばしちゃうし、桃は大規模な魔術が得意。しかし緋桜ならば小回りが効く上に、咄嗟の機転も十分に持ち合わせている。
ある程度は織が張った罠でも数を削れているが、二人は今日までずっと、慣れないことに集中力を注いできた。この疲労も当然というものだ。
「それにしても、数が多すぎじゃない?」
「途中で港に寄ったし、そこで人員を補充したんだろ」
「それにしてもよ。ここまで恨まれてるってことは、あのお姫様相当なことをやらかしてるに違いないわ」
百には届かないだろうが、それでも既に五十人ほどは倒したか。この船に乗っている客はたしか二百人、船員も合わせれば更に倍近くはいそうだが、それでも五十人は多い。
織が言った通り、途中で港に寄った時に人員補充があったのだろうが。
たった一人のために、それだけの数を手配していた。しかもすぐに補充してくるあたり、事前に準備できていたと考えてもいい。
「これ、相手の頭を潰した方が早いんじゃない?」
「だろうな……予定だと明日も港に寄るみたいだし、そこでまた追加されると思う」
「お姫様についての情報、ちゃんと洗い出した方がよさそうだね。何人か生かして尋問したけど、誰も答えなかったし」
「挙句自殺するやつまでいたんだから、見上げたプロ意識よね」
敵から情報を引き出すことはできない。ならば狙われてるエウロペの周りから逆算して、敵を特定するほかないだろう。
だが、それはそれで問題がある。エウロペが自分のことをなにも話そうとしないのだ。
彼女がなにかを隠しているのは明らかではあるものの、それが具体的になにかまでは分からない。
なによりも、時間が足りていなかった。
織たちが探ろうとする情報は、当然のように公にはできないものだろうし、そうなると捜査にも時間が必要だ。だったら最終日まで普通に守り切る方が簡単にも思える。
「どうする織くん?」
「……仕方ないか。奥の手を使おう」
「奥の手?」
「そう。うちには便利なマスコットがいるからな」
揃って小首を傾げる愛美と桃。
そんな二人に見せつけるようにして、織はカバンの中から奥の手を取り出す。
「私をカバンの中に三日も閉じ込めるとは、随分な真似をしてくれるじゃないか、探偵」
「うわっ、グレイだ」
すっごい顰めっ面した桃の言う通り。
全長十五センチのミニチュア吸血鬼、グレイ。こいつが奥の手だ。
「あなた、もしかしてずっとカバンの中に入れてたの? さすがに可哀想よ」
「いいんだよこいつはこれくらいで」
「そうそう、優しくする理由なんてないんだしさ」
「貴様らな……」
青筋浮かべた吸血鬼は、しかしこの二人になにを言っても無駄だと悟っているのだろう。こんな扱いを受けるのは自業自得だと分かっているのかもしれない。
ため息を一つ吐き出して、やれやれとばかりに首を振っている。
「ていうかグレイ、あんた今までどこでなにしてたのよ。サーニャの別荘から帰ってきて全く見かけなかったし、葵たちも探してたわよ?」
「私は私で動いているのだよ。赤き龍の端末が他にもいないとは限らんしな。なにより、
この一ヶ月近く、グレイは棗市を離れ、この世界のどこかにあるはずの
転生者が関わっているのなら、赤き龍も関与する可能性がある。
それは前回の事件のこともあるが、転生者が行動を起こすだけの力を手に入れるには、織たち魔眼保持者か赤き龍に接触するしかない。悪事を企むようなやつなら、どちらに接触するかは一目瞭然。
「織くん、なんでグレイのこと黙ってたの? 教えてくれてもよかったじゃん」
「念のためだよ。転生者が敵なら、グレイの存在だって把握してる可能性がある。万一にもこいつがここにいることを悟られたくなかったんだ」
「たしかに、もしも赤き龍が出張ってきててグレイがいるって知れば、逃しちゃうかもしれないわね」
グレイの持つキリの力、『崩壊』は現状でこちらが持てる最強の手札だ。なにせ幻想魔眼と相殺できるレベル。グレイ本人の実力も相まって、味方となってくれた今ではとても頼りになる。
逆に、敵からすれば脅威以外の何者でもない。最も警戒すべき相手だ。
「それで、話は全て聞こえていたが、そのエウロペという女の情報を視てくればいいのだな?」
「ああ、頼む」
「レディの秘密を覗くのは気が進まないが、仕方あるまい」
「どの口で言ってんの」
桃の嫌味も無視して、グレイは早速エウロペの元へ転移した。あとは彼の報告待ちだ。
「グレイと、普通に話すんだな」
再び三人だけになった室内で、織は意を決して気になっていたことを聞いた。
ひょっとすると、魔女にとってこれは地雷かもしれないけど。この三人しかいない今なら、話してくれると思ったから。
魔女は苦笑を浮かべて、本当に困ったとばかりに声を漏らす。
「普通に話せちゃうから、わたしも困ってるんだけどね」
いっそ険悪なままの方がよかったと。
切実さの滲む音は、突如鳴り響いた爆発音にかき消された。
「なんだっ⁉︎」
船が大きく揺れて、まともに立っていられず近くの棚で体を支える。外からは悲鳴が聞こえてきて、考えずともまずい事態に陥っていることが察せられた。
「お姫様のところに戻るわよ!」
「いや、そっちは緋桜とグレイがいるから、わたしたちは状況の確認が先!」
揺れが収まってから、慌てて部屋の外に出る。廊下から見渡される海の上には、このクルーズ船に比べればとても小さい船が見えた。いや、あれは船というよりもボートと言った方がいい。それが三隻。
離れた位置にあるそれを、強化した視力で確認する。
「乗ってるのは武装したやつらがそれぞれ五人。機銃もついてやがるな……」
「何ミリの機銃かは知らないけど、よほど当たりどころが悪くない限り爆発なんてしないはずよ」
「織くん、反対側は?」
「……ダメだな、入り込まれてる。船に穴も空いてるし、RPGでもぶち込まれたか?」
目に魔力を通して、いくつもの壁を挟んだ向こう側を見る。こちら側に見えたボートと同じものが二つ、この船の近くに浮いていた。誰も乗っていないから、既にこの船に乗り込まれているだろう。
そして先程の爆発は、あちら側のボートに乗っていた敵によるものだ。浸水はしていない。今から塞げばまだ間に合う。
「まさか本当に、こんな強引な手段を取ってくるなんてね……」
「くそっ、こんなことならもっとちゃんと視とくべきだった」
「考えるのはあと! とにかく敵の排除に向かうわよ!」
「桃、こっちの三隻任せた! 愛美と俺は入り込んだやつらの排除だ!」
「了解、これ以上は侵入させないよ」
緋色の桜が出現して、桃の手元に収束する。大きな和弓を形作った。
周囲の人々はその光景を見ているが、それ以上に命の危機だからか、足を止めることもなく逃げ惑う。
この混乱した中では、転移も危険だ。愛美と二人で船内を走り、船の逆側まで急いだ。
◆
海の上に飛び上がった桃は、容赦なく放った矢でまず一隻を沈めた。乗っていた敵は海中に逃げる間もなく、ボートの爆発に巻き込まれている。
「あと二隻」
次の矢を番えながら、思考を巡らせる。
突然現れた敵。ボートに乗っていると言うことは、すぐ近くに母艦かなにかがあると見ていい。しかし、探知魔術には引っかからない。魔女の目を欺けるとなれば、魔術や科学の力では不可能だ。
なにかしらの異能によるものと思われる。
これで、敵の転生者が力を取り戻していることが確定してしまった。ここまでは織や愛美も気づいているはずだ。
残る問題は、その転生者が何者なのか。探知に引っかからない母艦がどこにいるのか。
二射目を放つのと同時、肩の上に灰色の吸血鬼が転移してきた。
「遅かったね」
「緋桜に捕まった。あちらはあちらで、少々面倒なことになっていたがな。やつは女難の相でもあるのか?」
「わたしに聞かないでよ」
まあ、あるのかないのかで言えば、ある。
本人の言動もその一助となっているけど、大体の責任は自分にある気がするので、桃は早々にこの話題を打ち切った。
「で、お姫様はどうだったの?」
「それを答える前に、貴様に聞いておきたいことがある」
「は? そんな暇ないでしょ。ほら見なよ、敵さん戦闘ヘリまで出してきたよ」
プロペラの旋回する音が、二重に響き渡る。戦闘ヘリが二機。ボートの方もまだ一隻残っていると言うのに。
あまり大規模な魔術は使えない。すぐ後ろのクルーズ船も巻き添えになる可能性が捨てきれないから。
だからこちらは戦闘に集中したいのだ。吸血鬼の質問に答えている暇なんてない。
「どうした、魔女ともあろうものがあの程度の敵に手こずるのか?」
「安い挑発。お前に言われてるってだけでムカつくよ」
「貴様、なぜドラグニアに移り住むことを否定しなかった」
こちらの言葉なんて聞く耳持たず、意味のわからない質問が耳に届く。
目の前では二機の戦闘ヘリが、装備したミニガンの銃身を回転させていた。撃たれる前に片付ける。
「殺人姫や桐生朱音には否定して、何も言わず黙ってこの世界を去っていれば良かっただろう。魔女ならばそうすると思っていたのだがな」
「うるさい」
足元に魔法陣を広げた。海の水が渦を巻き、矛となって戦闘ヘリの片方を下から貫く。呆気なく墜落していくヘリは、海上のボートにぶつかり爆発、乗員もろとも海の底へ沈んでいく。
「わざわざやつらに懇切丁寧な説明をしてやったのには、なにか理由があるのだろう。そうだな、言って欲しい言葉があった、といったところか?」
「黙れ」
矛としての形を失った水は、雨のように降り注ぐ。それら全てが突然動きを止めて、残ったヘリに弾丸となって襲いかかった。
多数の風穴が空く。中がどうなっているのかは、確認しない方がいいだろう。
「さてでは、貴様は誰にどのような言葉を望んでいるのかな?」
「黙れって言ってるでしょ!」
肩に乗っていた吸血鬼の小さな体を、手のひらで握り潰す。右の手首から先が赤黒い血で汚れ、グロテスクな肉塊だけが残った。
「お前に、なにがわかるの……」
「わかるさ。むしろ、我々吸血鬼や転生者のような存在でもなければ、理解してやれないだろう」
背後で再生を果たしたグレイは、元の姿に戻っていた。初めて桃の前に現れ、仲間を次々と殺して周り、魔女となってしまったあの日と、同じ姿に。
「永い時というのは、人に孤独を感じさせるものだ。それは吸血鬼も転生者も変わらない。無論、只人のまま二百年生きた魔女もな」
「……」
「それを埋める誰かが必要だ。サーニャは常に人の世に潜んで暮らし、小鳥遊蒼には彼方有澄がいた。剣崎龍とルージュ・クラウンは常に同じ時代に転生したと聞く。私にもそのような存在がいれば、道を踏み外さなかったやもしれん」
「世迷言だね」
「どうかな。事実貴様は、日本支部に住み着いてから随分変わったではないか」
ああ、分かっている。こんな奴に言われなくても、自分が何を望んでいるのかなんて、とてもよく理解している。
寂しいに決まってる。孤独感、あるいは疎外感を覚えるのは当たり前。
それだけの時を生きた。
でも、それらを埋めてくれたのは、これ以上ないほどに無二の親友と、一生恨むと決めたあの男。
彼に言って欲しい言葉があるけど、それをただ望むだけの、我儘な女になりたくないから。最後の最後まで、恨み続けるだけで十分なはずだから。
「それで、結局お姫様はどうだったの」
思考も感情も、無理矢理断ち切るように話を変える。グレイもこれ以上は続ける意味がないと判断したのか、至極端的に、答えを返した。
「エウロペ・ティリスは転生者だ。つまり、今回の黒幕だよ」
◆
時間は少し遡る。
織たち三人が部屋で休憩している、一方その頃。緋桜は今日も今日とて、我儘お姫様のお守りをしていた。
三日目ともなれば、エウロペがどのような人間か、具体的なところも見えて来る。
「どうかしら? わたくしが自ら取り寄せた茶葉を使っているけれど」
「美味いな」
「それはよかったわ」
お姫様が自ら淹れた紅茶を味わう。
この女性の本質は奉仕者の側にあった。誰かに尽くすことに喜びを感じる。我儘なのは間違いないが、性根が優しいのだろう。
あるいは、民に尽くす王族として相応しいと言えるかもしれない。
時代が違っていれば、良き統治者になれたはずだ。残念ながら現代では、王政の残ってる国がひとつもない。その国の象徴としての役割しか持たない王族は、逆に尽くされる立場にある。
「わたくしの下へ来てくれれば、毎日この紅茶を淹れて差し上げるわ」
「またそれか……何度も言ってるだろ、断るって」
似たようなやり取りを、この三日間で何度も交わした。どうやらかなり気に入られてしまったらしい。自分のなにがエウロペの琴線に触れたのかは分からないが、緋桜は応じるつもりなど一切なかった。
「なにがそんなに嫌なのかしら」
「お姫様の付き人なんて気疲れするだけだ。これも毎回言ってるぞ」
ここまでは、いつも通りのやり取り。
エウロペのアプローチを緋桜がにべもなく切り捨てて、悔しがる様子も見せず、どこか楽しそうにクスクスと笑うお姫様。
だが、ここから先はこの三日間と違った。
「あら、付き人として雇うなんて一言も言っていないわよ?」
「じゃあなんだって言うんだ」
「決まっているじゃない。わたくしの旦那様として、国に招くのよ」
「は?」
開いた口が塞がらないとは、このことか。
あまりにも予想外の言葉に思わず数瞬自失して、ニコニコと笑顔のままなエウロペを見つめる。
嘘を言っているようには見えない。しかし貼り付けたような笑みは相変わらずで、真意は隠されたまま。
目を細め、低く冷たい声が出る。意識せずとも、すぐそこにいる女を警戒していた。
「どういうつもりだ」
「言葉のままの意味よ」
「自分の立場をわかってるのか? 一国の王女が、他国の一般人を婿として迎えるなんて、正気とは思えないな」
「ええ、わたくしもそう思うわ」
立ち上がってベランダの窓際まで歩くエウロペ。警戒を解かずに緋桜も立ち上がり、数歩距離を置いた場所に立つ。
命を狙われているのだから窓際に立つな、と言いたいところだが、生憎とそれどころじゃない。
けれど、と前置きした女の笑みが、変わる。緋桜もよく知っている、殺人姫や魔女が時折見せていた、狂気混じりの笑みに。
「正気のままなら、転生者なんてやっていけないでしょう?」
「……っ⁉︎」
言葉と共に、大きな爆発音が船を揺らした。部屋の外では黒服たちが騒いでいる。今日までに船中へ張り巡らせた探知は、敵の侵入を脳内に知らせていた。
僅か数秒の間に、緋桜は答えへと至る。
「お前まさか、自分で」
「勘違いしないでね。わたくしは本気でわたくしの命を奪って欲しかったし、誰かに脅されているわけでもない。あなたに求婚したのも本気よ」
「タチの悪い自殺志願者かよ……!」
とんでもない女に目をつけられてしまった。殺人姫や魔女よりもなおタチが悪い。女難の相でもあるのか、俺は。
「それで、どうかしら? わたくしの元へ来る気はある?」
「何回も言わせるなよ、そんなものはない」
「どうして? わたくしの最期を飾れるのは、あなたしかいないのよ?」
「生憎、惚れた女がいるんでな。あいつと一生一緒にいるって、もう決めてるんだ」
「それは残念、なら死になさい」
透明な何かが、部屋の中で揺らめいた。
次の瞬間には、緋桜を囲むようにしてアサルトライフルを構えた武装した兵士たちが現れる。
舌打ちをひとつして、全身を桜の花びらで覆った。遅れて激しい銃声。全方位からの強い衝撃を難なく耐えていたが、不自然なタイミングそれが止まる。
代わりに聞こえてくるのは、悲鳴と肉を突き破る音。
なにが起きたのかを察して花びらを消し、どこかへと姿を消したエウロペの代わりに立っている吸血鬼へと声をかけた。
「見てたんならもっと早く助けてくれよ」
「なに、邪魔をしては悪いと思ってな。それにしても緋桜、貴様はどうしてそう、面倒な女ばかりを引っ掛けるのだ」
「人聞きの悪い言い方はやめてくれ。俺が引っ掛けたんじゃなくて、むしろ引っ掛かった側だよ、今回は」
死体の中で佇むグレイは、こちらに憐れみの視線を向けてくる。
一途な吸血鬼様は女性関係のトラブルに巻き込まれたことがなさそうで、心底羨ましい限りだ。自分も結構一途な方なのだが、この差は一体なんなのか。
「全部視たか?」
「無論だ。探偵どもに伝えてくる」
「お前は桃の方に頼む。織たちの方は俺が行くよ」
「先程の言葉、魔女に直接伝えてやればいいだろう」
「それができたら、俺とあいつはこんな風になってない」
もっと簡単な道があったのだと思う。
桃にとっても緋桜にとっても、最善の方法というものがどこかに転がってるはず。けれど、二人はそれを選択しなかった。できなかった。
だからお互いに一方通行の想いだけを抱いて、今日に至っているのだ。
「……貴様がそれでいいなら、私からはもうなにも言わんよ。しかし、よく考えろよ。でなければ、昔の私や、あるいは転生者のようになってしまうからな」
「そいつは嫌だな」
グレイがどこかへ転移したのを見て、タバコを取り出し火をつける。
またひとつ、煙の中になにかを隠した。
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