桜の花が咲く頃に

桜の花が咲く頃に

この春から新生活を始める為、引っ越しの荷造りをしていた。

そんな時、有名なお菓子の大きい缶を見つけた。

「うわ〜懐かしいー」

フタを開けてみると、封がされていない手紙が大量に入っていた。

手紙の内容は高校の頃に好きだった【けんと先輩】への好きな気持ちで溢れていた。

先輩との出会いは、高校入学の時の新入生部活勧誘会がキッカケだった。

けんと先輩は剣道部の主将で、舞台に立って剣道部の練習メニューや今までの実績など自信満々な発言と、その後は試合形式での緊迫感。終わってからの安堵の表情で一瞬にして恋に落ちた私は、勧誘会が終わってすぐに剣道部のマネージャーに志願し、見事マネージャーに。

マネージャーになってから、剣道に真剣に向き合うけんと先輩の事が日に日に好きになっていった。

この抑えきれない気持ちをけんと先輩に伝えたい。

そう思った私は、好きな気持ちを毎日手紙に書くものの渡す勇気が無く、渡せないままの手紙が増えるばかりだった。

けんと先輩の卒業式当日。手紙を渡せる最後のチャンスだと思い、勇気を振り絞って手紙を渡した。

先輩は手紙をその場で読み出した。

けんと先輩は『お前の気持ちは最初から分かってた。部活を引退してからお前の事ばっかり考えてた。…お前の事、俺も好きだったみたいなんだ』と言ってくれた。

私は予想外の返事に涙がいつまでも止まらなかった。

『あすか？どうした？手止まってるよ？』と私に声を掛けるのは…そう。この春私は、けんと先輩と一緒に新生活を始める。