『火の島』 中の上

やましん(テンパー)

『火の島』 中の上

 ぼくは、それから、焼き鳥やさんの手伝いを始めたのです。


 すると、けっこう、色んな人々、まあ、地球人類ではない方もあるのですが、が、うまい具合に、まくばって、やって来るのです。


 前にもどこかで言いましたが、お店を開く休憩所は、一つではありません。


 ここは、見渡す限りの森です。


 しかも、川が見えないのです。


 だから、山も見当たらない。


 たたひとつ、あの、火山らしきが火を吹き続ける、不可思議な『火の島』と呼ばれる山が、目立つのですが、かなり、距離はありそうでした。


 その周囲が、海なのか、あるいは、湖なのか、大地の中の独立峰なのかは、判別できません。


 下の方は、地平線と、森の中です。


 焼き鳥やさんを開くことが許可されているのは、5ヶ所でした。


 それでも、ぼくは、すぐに、結構な数の追放者さんたちと、知り合いになりました。


 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 『あすは、朝から、市場に降りよう。いいかい、言動には注意。まあ、とくに、しばらくは、しゃべらなくていいよ。』


 『あいよ。』


 なんにもしないで、ぼけっとしているよりは、仕事をしているほうが、よい面はあります。


 ただし、死にそうにまで、追い詰められるような仕事は、もう、ごめんですが。


 その晩、ぼくは、ひたすら、おそらを眺めておりました。


 すると、流れ星ではなさそうな、わりと、人工的な感じがする光跡を牽きながら、何かが飛んで行きました。


 『また、追放者さんを連れてきたかな。』


 とは、思ったのですが、あら、とも、思いました。


 宇宙ごきの宇宙船は、基本、重力制御で、ああした光跡は、作らないはずです。


 空間移動もやりますが、地上では、危ないらしくて、あまりやらないと、ごき中佐から聞きました。


 すると、ロケットみたいなあれは、宇宙ごきではない、他の何かが、やってきているというわけでしょうか。


 また、おじさんに聞いてみようとおもいながら、少し、疲れてもいたので、寝てしまいました。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 真夜中。


 ぼくは、何時もとは違う、ここでは、聞いたことがない、ざわざわした音に、目が覚めたのです。



        🌠  ・・・・・・・・

 


  

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