気怠げ加瀬ちゃんは、百合を求められる

闇野ゆかい

第1話プロローグ気怠げな加瀬

ウチ、加瀬美那はいつも気怠げに高校生活を送っている。


いつも気怠げにしていることを隠すこともせず、教室で頬杖をついて、窓の外に視線をやっている。

そんなウチに、毎度の休み時間、話しかけてくる女子が一人いる。

彼女は、クラスが違うにも関わらず友達になりたい様で、懲りもせずに話しかけてくる。

ウチは、うわのそらで返事をしているが、彼女はめげずに話しかけてくる。


「ねぇねぇ、加瀬さん。私がおすすめしたマンガって読んでくれた?」

「うん、読んだよぅ。良かったよ、アレ」

「読んでくれたんだ。嬉しいよっ、加瀬さん!今日の放課後って、空いてる?」

「ううん。今日は、バイト」

「そうなんだ......じゃあ、バイト先に行っていい?」

「やめてよ、それは」

ウチは、席の前でしゃがみこんで机に顎をのせて、聞いてきた三ケ野詩乃を拒絶した。

「別のことだったらいいの?加瀬さん」

「ま、まあ......それ以外なら、別に」

「じゃあじゃあっ、お昼一緒に食べない?加瀬さん、いいでしょ!」

先ほどよりも声を弾ませ、提案する彼女。

「はあぁー。いいよ、三ケ野さん」

ウチは、折れてため息を吐き、彼女の提案に乗ることにした。

彼女と居ると何だか調子が。


「やったぁ~!マンガの感想聞かせてよ、加瀬さん」

無邪気に笑い、会話を続けようとする彼女。


誰とも馴れ合う気なんてないのに。


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