第35話 信長が起こしたイノベーションとは!?

 前回は信長にとって、ターニングポイントとなった2つの戦いのお話をしました。


 バイオレンスの面での信長を紹介した訳ですが、今回はなぜ信長が強かったのお話していきたいと思います。


 つまり『イノベーション』の面での信長のお話ですが、皆様に覚えていただくのはたったの2つです。


 そのつのイノベーションというのは、『経済政策』と『軍事強化』だけです。


 それでは、信長が起こしたイノベーションを見ていきましょう!



【自由に商売してオッケー! しかも交通料は無料!? 太っぱらな信長の経済政策とは?】

 信長は戦いだけじゃなく経済政策にも積極的に取り組みました。


 その例として“関所の廃止”があります。


「なんで関所を廃止したの?」という声が聞こえてきそうですが、関所を現代風に言うと“料金所”みたいなものです。


 つまり街道の通行料をタダにしたのです。


 もし高速道路の料金がタダになったら、皆こぞって使いますよね。これは戦国時代でも同じで、街道の通行料をタダにしたことによって、人の行き来が活発になりました。

 

 とくに喜ぶのは商売人です。物流のコストが安く抑えられるし、商品の運搬がスムーズになります。


商売人「信長さん、この道タダで通っていいんですか?」


信長「かまわん! 好きに通るがいい!」


商売人「めっちゃ太っ腹じゃないですか! よーし頑張って商売するぞ!」


 こんな感じで商売人が喜び、経済が活性化するわけです。


 さらに商売人にとって嬉しい事がありました。

 

 それは『楽市楽座』の制定です。さて、楽市楽座って学校の授業でも出てきますが、一体どのようなものだったんでしょうか?


 これは早い話「自由に商売していいよ」という“自由市場”のことです。逆に言えば、それまで商売人は自由に商売が出来なかったというわけですね。


 実は当時の『金融・経済』を握っていたのはお寺でした。


 お寺が流通、販売を握っていたので、お寺に許可をとって、商工組合に加入しないと商売人はビジネスが出来なかったのです。


 現代風にいうと個人事業はNGで、必ずフランチャイズに加入しないとお店が開けないのようなものです。


 どういう事かというと、例えば本当はラーメン屋さんを開きたい人がいたとします。しかしフランチャイズに入らなければ、お店を出せません。

 なので吉○屋のフランチャイズに加入して、オレンジの看板をかかげて、本当はラーメンを売りたいのに、仕方なく牛丼を売っているような状態ですね。

 

 このようにビジネスはお寺によって、厳しく制限されていたのですが、信長は規制を緩和したのです。

 

商売人「信長さん!、好きな物売っていいんですか?」


信長「かまわん! 好きに商売するがいい!」


商売人「いままで、お寺が厳しくて、自由に商売できなかったから、めっちゃ嬉しいです! よーし、頑張ってはたらくぞ!」


商売人「僕、お寺のフランチャイズに入れなくて、個人のビジネス諦めていたんですが、信長さんのお陰で夢が叶いました! ありがとうございます」


信長「フハハハハ! 自由に商売するがいい!」


 規制を緩和したことによって、新しく商売を始められるハードルも下がりました。


 通行料をタダにした事、そして楽市楽座によって商売の規制を緩和したので、流通と商品の売買が活発になります。


 すると領地の経済が活性化するので、結果として信長のところにもお金がたくさん入ってきて、財政が潤うわけです。

 

 戦いだけじゃなく、政治家としても信長は優秀だったんですね。



【集めた資金で傭兵を雇った。信長の軍事強化とは!】

 信長は三好三人衆を京都から追い出して、近畿地区を支配したのは前回お話しましたが、有利にはらきます。


 近畿地区には滋賀県があります。そう鉄砲の国産化を成功させた場所ですね! 

 なのでは当時、近畿地区は鉄砲の産地でした。そこを手に入れたという事は、大量の鉄砲を製造させることが出来るのです。


 またそれだけでなく、当時最大の貿易港だった堺の街(現代の大阪)を手に入れることが出来たからです。


 堺の街は自治権を室町幕府から買い取っており、独自の軍隊を持ち、周囲を堀で囲んでいたので、独立国家のような状態でした。


 そんな堺の街は『人、物、金』で溢れており、潤沢な富に信長は目をつけたのです。


信長「これから堺の街は、俺様が支配する! わかったら金を出せ!」


 カツアゲするヤンキーのように信長は迫りましたが……


堺の商人「わかりました。お金を払います」


 あっさりと信長の要求を飲んだと言われいます。と言うのも、信長はイケイケの戦国武将です。

 どんどん領地を広げてくだろうと期待できます。領地が広がれば、消費も増えるので、商売もしやすくなります。


 なので信長にお金を払うのは、見返りが期待できる『投資』だったわけですね。


 堺の街は、現在の価値にして50億円もの大金を信長に払ったそうです。


 柔軟な経済政策によって、大量の軍資金を手に入れた信長は大規模な軍事作戦や、武器の製造を行っただけでなく、傭兵を雇用しました。


 当時の兵士は、大半が農民でした。なので、どうなるかと言うと……


武将「戦に出陣だ!」


農民「田植えが終わってからにしましょうよ。お米がとれないと、皆飢え死にしちゃいますよ」


武将「むむむ、それなら仕方がない」


 このように、田植えや、畑の収穫が終わってからじゃないと、合戦が出来なかったのです。


 また、戦がなくても、農業に勤しんでいるので、軍事訓練なんて出来ません。


 しかし信長はお金を払って傭兵を雇い、農民と兵士を明確に分けました。

 これは単純な方法ですが、当時にとっては大きなイノベーションです。


 農民は田植えに専念できるし、傭兵は農業に従事する必要ないので、合戦がない時は、訓練をして戦いの能力を上げることが出来るようになりました。


『鉄砲の産地を手に入れた』

『柔軟な経済政策』

『集めたお金で傭兵を雇った』


 こうして信長は軍事強化をしていったのです。



 

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