第332話 さらば、竜人族の里
竜人族の里での大宴会が終わり、とうとうダンジョンへ戻る日がやってきた。
思えば、行方不明になったシモーネを捜すためにあちこち回ってきたけど……まさか竜人族たちの暮らす村にたどり着くとは思ってもみなかったな。
「ありがとう。君たちのおかげで近い将来、竜人族と人間はもっと親しい間柄となるだろう」
「俺たちもそれが実現できるように頑張ります」
「頼もしい言葉だ。いつかその日が訪れるよう、今から楽しみにしていよう」
「はい!」
前竜王バーディンさんと別れの挨拶をかわし、俺たちは里を発つ。
ちなみに、エセルダはそのまま里に残ることにした。
もともと住んでいた場所へは近いうちに一度戻る予定だが、今後はここで暮らし、畑の管理を手伝いたいという。
一方、ヴィネッサについては俺たちが起きるよりも先に里を出ていったらしい。兄のハンデスさんは「世話になったというのに、不義理なヤツだな」と怒っていたが、そうした自由なところも彼女らしいといえばらしいので特に腹を立てるようなことはない。
「さよ~なら~」
ドラゴン形態となったシモーネの背中に乗り込むと、俺たちは見送りに来てくれていた里の人たちに手を振って別れの挨拶をする。
今回の出来事は、きっと俺たちにとって――いや、人間という種族全体にとっていい方向へと進むきっかけになったんじゃないかな。
長い旅路を経て、俺たちはダンジョンのある森へと戻ってきた。
気配を察知したのか、ツリーハウス最上階にある地上用の玄関からクラウディアさんとウッドマンたちが出てきた。
「おかえりなさいませ――っと、シモーネ様はご無事だったようです」
「ご心配をおかけしました」
ペコペコと頭を下げる人間形態へ戻ったシモーネ。
そんな光景を眺めていると、
「やれやれ、そんな調子でこれから大丈夫なのかねぇ」
どこからともなく声がする。
みんなで周りをキョロキョロと見回していたら、キアラが声の主を発見。そこは俺たちからすぐ近くにある木の上だった。
「っ!? ヴィネッサ!? どうしてここに!?」
「あんたたちのあとをつけさせてもらったのさ。前竜王に気に入られた人間がどんなところに住んでいるか興味あったんでね」
そう言って、ヴィネッサは木から飛び降りると、
「俺もこの森が気に入った。しばらく厄介になるぜ。――あっ、言っておくけど、里の連中みたいに農業で汗を流すのは趣味じゃないからな。んじゃ」
ダンジョン近くの森を新しい住処にすると宣言したヴィネッサ。
これはまた賑やかになりそうだ。
…………………………………………………………………………………………………
ドラノベコン用に新作をはじめました!
【愛弟子が救世主パーティーを追いだされたので一緒に抜けようと思う】
師弟×無双×ハーレム!
これらのジャンルが刺さる方はぜひ!
刺さらない方も読んでみてください!
応援よろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます