QOL(クォリティオブライフ)の成績不振

ちびまるフォイ

QOLを下げている悪しき習慣

「なんだこのQOLは! ちゃんと人生楽しんでいるのか!?」


「は、はい……自分なりには……」


「だったら生活の質。"Quality Of Life"が高い成績になるはずだ。

 授業が終わったら職員室に来なさい。このままじゃ留年だよ」


「ひえぇ……」


生活品質が高い人間は社会でも非常に求められる。

ということで、学校の成績にQOLが追加されてからずっとこの調子。


勉強は努力して時間を使えば多少は上げることができる。

でも生活品質のQOLはいったいどうすればあがるのか。


「君はこんなにも勉強の成績がいいのにQOLが低い。

 進学するには勉強だけできてもだめなんだよ」


「はぁ……」


「QOLを上げるんだ。先生のように毎朝ジョギングするとか。

 スムージーを作って飲むとか。そういうことしてみるんだ」


「それで人生の生活品質が良くなるんですか」


「先生の生活がまちがってるっていいたいのか!!」


「いっいえ! 正解がわからないだけです!!」


このまま留年するとそれこそQOLが低下してしまう。

それだけは避けるために自分の生活を見直してみることにした。


朝は早くに起きて公園をランニング。

朝食にはスムージーを飲んで、登校前にはカフェでコーヒー。

英字新聞で海外の情報を仕入れながらタクシーで学校へ。


そんな生活を3ヶ月ほど続けた結果の通知表が届いた。


「むしろQOLが下がってるってどういうことだーー!!」


自分よりも先生がキレていた。


「君は進学したくないのか!? なんでこんなにQOLが低いんだ!

 そんなに自分の人生を無価値にしたいのか!?」


「僕だってわかりませんよ!」


「こんなに熱心に指導したのに留年されたら

 教師生活の中で末代までの恥になる!

 なんとしても君のQOLをあげてみせる!!!」


すると先生は机からなにやら手のひらサイズの測定器を取り出した。


「これはQOL測定値。これで君の生活の中で何がQOLを下げているのかわかる」


「僕のQOLを細かく計測してどうするんですか?」


「もっとも君のQOLを下げている原因を取り除くんだ。

 そうすればQOLが上昇する。留年もまぬがれてみんなハッピーさ」


渡されたQOL測定値をもって自分の生活品質を見つめ直すことになった。


食事ひとつにしても満足度が高いものはQOLが高いし、

カップ麺や同じ食事やバランスの悪いメニューではQOLが低い。


そうして自分の生活の品質向上でなにが必要でなにが不要なのか。

測定値を見ながらQOLが低くなっている原因を探した。


数日後、QOL測定値を返すために職員室へと向かった。


「おお、お前か。ちょうどテストの採点をしていたところだ。

 今回も満点で他の先生からも指導が良いと褒められたよ」


「よかったです。それとこの測定値を返しに来ました」


「ということは、お前のQOLを下げている原因がわかったのか!?」


「はい。ひとつだけ極端にQOL下げているのがありました」


「むむ! そうか、やっぱりそうだったんだな。先生もそうだと思ってたんだ。

 こんなに人生を灰色にするにはデカい要因があると睨んでたんだ」


「はい、先生の言う通り原因はひとつでした」


「そうか。ならもう問題は解決だな。そのQOLを下げている行為をやめるべきだ!」


先生にそっと必要書類を差し出した。



「では、僕はこれで退学させていただきます。ありがとうございました」

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