第6話 中間テスト

あれから1週間。

土日関係なしに私達は毎日勉強会を開き、私は学年一桁の順位を、大橋さんは赤点回避を目標に朝から晩まで勉強し続けた。


私は昔は大橋さんみたいな点数を取っていた。

だからこそ私にも彼女の気持ちが超能力なんて無くともわかるし、何をしてあげられるかをよく理解している。大橋さんも勉強が嫌だと言う割には1日も欠かさず勉強会へ来てくれている。その期待に応えたい、それだけだった。


「いよいよ明日からだね、中間テスト。大橋さんは最低限以上のやる事をやってる訳だし、大丈夫だよ」


「お前の教え方が良かったからだな。まぁ、正々堂々勝負してくるよ」


「うん、期待してる」


図書室を後にする大橋さんの耳が少し赤くなっている気がした。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「終わった〜〜〜!」


「うん、お疲れ様」


テスト最終日の午後、3時間で終わり既にファミレスで打ち上げと言うには規模の小さい、お疲れ様会みたいな事をしている。私も大橋さんもテストの出来にはかなり良い感触があった。


「いやぁ、勉強したとこほとんど出てきてたぜ?赤点回避以上にもしかしたら平均点超えるかもしれないぞ!」


「あれだけ勉強したし本当にもしかするかもね」


「おぉ〜!!テストが返ってくる日をこんなに楽しみにしたことはないぜ」


「それは良かった」


そう言って私は席を立つ。さっき持ってきたメロンソーダを飲み干し、私は大橋さんを残して会計に向かう。


「どうした?もっとゆっくりしていけば良いのに。なんか用事か?」


「うん、ごめんね大橋さん。ちょっと大事な用事があって」


「わかった。また学校でな」


少し寂しそうな顔をした後、いつもみたいなハキハキした声は返ってこなかった。


ファミレスから出たその足で河川敷の方へ向かう。私が河川敷に到着したときには既に男が一人退屈そうにスマホ片手に立っていた。この男は、私が大橋さんを尾行していた時に彼女に茶封筒を渡していたあの男だ。


以前、テレポート使いのナントカさんの復讐劇に巻き込まれた時に『またうちのやつが来るようならこれで連絡してくれ』と連絡先を交換していた。


「すみません、遅くなりました……」


「いや、待ってはないが……あぁ、それで?俺に用があるって一体なんだ?……もしかしてまた俺の部下が大橋さんに何かやらかしたのか!?」


男が私の肩を掴んで揺さぶる。どうやら何か勘違いしているようだ。それにしても大橋さんってトラウマになるレベルで強いんだ……


「いえいえ、違います」


「じゃあ何の用で呼び出したんだ?」


「私に超能力を教えてください!!!」


「……え?」

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