第1話 ア◯ジャッシュ
「お前……見てたな?」
「さ、さて……なんのことでしょう?」
嘘の苦手な私は見て明らかな嘘をついてしまった。ただお話ししたかっただけなのに、第一声が『面貸せ』なんて昭和のヤンキーみたいな……
「いや、3、4日前に河川敷でアタシのこと覗き込むように反対側から見てたよな?途中で『うわぁぁぁぁ!』って奇声出してたけど」
はっっっっずかしい!!!!聞こえてたの!?そりゃ最初は聞こえるように叫んだ私が馬鹿だったけどさ!!まさか真似までされるとは……この子恐ろしい!
「まぁ、見てたってことでいいんだな?」
「う、うん。大橋さんとお話ししてみたかったから……でもあんなことはもうやめよう!ね?」
「あんなことって、あれは向こうから来たんであってアタシからは別に何もやってねぇよ」
「でも断らなきゃ!」
「いや、断ってもしつこく来るから、いっぺんヤッた方がはえぇだろ?」
「でもダメだよ!だって私達まだ高校一年生だよ!」
「年齢なんか関係あるか?しかも、向こう側から金貰えるんだぜ?ありがたいったらありゃしない」
「でもダメだよ、もっと自分を大切にしなきゃ!」
「自分を大切にってもなぁ、アタシが傷つくことなんて滅多にないぜ?w」
でも、私には見てしまったからには言わなきゃいけないことがある。責任があるような気がしてきた。だから、私は……
「それでも、えっ……Hなことでお金貰うのは良くないよ!」
「……は?」
「……え?」
校舎裏に響いた私の叫びは反射して、青く澄んだ空を優雅に飛ぶ飛行機にまで届いたような気がした。
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「あっはっはっはっはっwwwww」
恥ずかしくて顔から火が出そう。屋上に移動した私達はベンチに二人腰掛けていた。
「それであの場面見てアタシが出会い系やってるって勘違いしたのかよwwwあー、腹いてぇwww」
よほど面白かったのか、ツボにハマったようで目から涙を流すほどに笑っていた。一方の私は大橋さんの顔を見れずひたすら地面のコンクリートを見ていた。
「も、もういいでしょ!それであの時本当は何をやってるとこだったの!」
「あー、あれかwまぁ、お前になら言ってもいいわなwアタシ実は超能力者なんよw昔いっぺんやりやった奴がもう一回挑戦しにきたって訳よ、それでその慰謝料受け取ったw」
小刻みに、しかもセリフにwを入れてくるのが異様に腹立つが、そんな気持ちを抑えてただ純粋に問いかけてしまった。
「え、超能力……?」
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