『小惑星』

やましん(テンパー)

『小惑星』

『これは、フィクションであります。』



 ある、普通の夜でありました。


 千年くらいまえに、小惑星どうしで、こっつんこしてしまったために、何十億年も回っていた軌道をはずれた、ある、小惑星さんがありました。


 なんとなく、様々な干渉にも負けないで、太陽さんの回りを回っていたのですが、ちょっとしたきっかけで、地球さんにぶつかることになりました。


 そんな、気なんか、無かったのですが。


 小惑星さんは、とうとう、最後を迎えることになったのです。


 『ああ、なにものにも、最後は来るんだ。ぼくは、今、それに、臨んでいる。宇宙は、楽しかったなあ。』


 小惑星さんは、大気圏に突入し、はげしく、燃え上がりました。


 表面は、太陽さんの表面と同じくらいの温度になったのです。


 いよいよ、地表に近づいたとき、小惑星さんの体はバラバラになり、多くは燃え尽きたのですが、ほんの一握りが、やましんちの庭に落ちました。


 爆風で、やましんが寝ている部屋の窓ガラスが吹き飛び、そのかけらの尖った先端は、やましんの頭に突き刺さりました。


 ごく、普通の夜でありました。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・


             おわり

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『小惑星』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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