飾巫女覚醒-カザリミコカクセイ-

卯ノ花

第1話

記憶は曇天の港から。

富山県入善港。

秩序ある活気。口も止めぬが手も止めぬ、安心の作業…蝦夷(エミシ)だ。蝦夷のコロニー。有能である為に中味のないコネエリート達から疎まれ、中枢部から迫された者達。


ここだけではない。日本中にあるであろう蝦夷のコロニー。どこに行き着いても見事な運営ぶりだ。


船が6隻。

みな大きめの運搬船だ。粗末なものから立派なものまでいろいろ。

あの白く、赤い縁取りの先に龍の首のある船だなと目が止まる。


妃ではなく、宮に支える者程度の綺麗な仕度。

それでもここではかなり目立つ。

そんな女性を二人、引率している端正な白髭の男性もまた立派な仕度。

荷物持ち数名を伴う一段が近づくと、港の人夫達は手を止め深いお辞儀。

貴人筋の入港には慣れているが、女性は珍しいらしく少しのざわめき。

飛騨にあるプロジェクトから出立した一団である。

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