不似合いなふたり

八田藍京

第1話

山間の村にある一軒の店。

村では欠かせない生活必需品の雑貨屋。

タマオは大学生だったが父親が病気のため退学し後を継いでいる。

そこへ大きなエンジン音。

店前で停まると気の強そうな金髪の女が入ってくる。

「い、いらっしゃい・・」

何処から来たのだろうか。

村では見かけない女だ。

「ここでバイトさせてほしい」

タマオはたじろぐ。

「いや、うちはバイトなんてとってないよ」

そう言うと女は顔を近づけ

「頼むよ。学校へ行くのに金がないんだ」

「ちょっとまてよ。いきなりなんだ・・」

女は真剣な目だが風貌からして怖く見える。

とりあえず女の話だけでも聞いた。

学校といっても近くにはない。

恐る恐る女の話を聞いた。

彼女はハルといい十八歳。

親は離婚し母親が育てている。

中学から遊び高校には行ってない。

単車を乗り回すこともあり親の手を焼かせていた。

しかし母親はあまり丈夫でないことから看護師になろうと決心。

大学に行くには高校程度の学力が必要。

検定試験を受けようとしていた。

「これだけ喋ってんだ、頼むよ」

ハルは机に両手を付け顔を近づける。

「いや・・あのな、その口調じゃ客は逃げちゃうよ」

「はあ」

ハルは体を起こすと大きくため息をついた。

「と、とにかく話は分かったよ。雑用になるかもしれんが学費の足しになるんだったら・・」

「ありがと! サンキュー!」

意気揚々に単車で帰った。

「いやあ、へんな約束しちゃったな・・」

情けに弱いタマオは額に手をあてた。

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