三度目の高校生

@amanoreiyou

第1話 さあ三回目だ

今度で高校に入学するのが三回目になる。退学を繰り返し今に至る。今年で十九歳になる。


 入学式。周りを見渡すとやはり若い!いやー浮く。凄く浮く。人に確認したわけじゃねーから、わかんねーけどやっぱがたいが違うからな。


「やったー!同じクラスだね!」


「これからもよろしくー!」


楽しそうな声が聞こえる。もう慣れた。三週目になると中学の頃の友達は皆卒業しちまった。はぁ。




 「自己紹介をしよう。じゃあまずは秋田から」


「秋田です。趣味は読書です――」


という感じで自己紹介が進んでいく。


「じゃあ次山下」


「山下です。三回目の高校生活なので今十九歳です」


周りがざわつく。どうせ後でばれるのだ。今言った方がいい。




 結局友達はできなかった。だろうな。年上だし、周りの話題にはなってるようだ。


「ねぇ、山下君。君三回目なんでしょう?」


笑いながらきてくる。


「おうよ。なんかあったら俺に訊きな。二年生までは任せろ」


「へー二年生まではいったんだー。なにしたの?」


「色々な」


「へー。なんかやらかてみてよ。もういいでしょ?三週目だし」


「いや違うな。むしろ三回目だからこそこんどこそ、卒業したいんだ」


「今更卒業しても意味ないよ?」


「ここまでくるとプライドだ」


 友達ができた。やったぜ。メールアドレスを交換し、家に帰る。帰る途中可愛い女の子をみつけた。可愛い子を見つけたら話しかける。常識だ。


「ようねーちゃん。ちょっとカフェいかね?」


「すいません。急いでるんで」


「まぁそんなこと言わずにさぁ」


「急いでるって言ってるじゃねーかー!」


次の瞬間女の子の足が俺の顔面にヒットした。後ろに倒れこむ俺。


「あ、白」


ぐしゃあと音がするかと思うくらいの踏みつけをくらわされた。俺を睨む女。痛かったがパンツが見えた。これはプラスだ!


 そのまま女は勝ち誇ったように去っていった。まぁ俺もあいつもいい思いをしたからいいだろう。wenwenだろう。スペルあってるかな?とにかく立ち上がらねばと立ち上がると


「お前そんなことしてるから、退学させられんだよ」


「うっせーよ」


「でも卒業したいんだろう?俺がもっとおもしろいものを教えてやんよ」




暇だしついていくことにした。こいつはさっき友達になった武田だ。途中コンビニによりタバコを買おうとすると


「おい、まだ未成年だろ。コーヒー買ったるから我慢しろ」


と言われた。確かにこんなことしてるから退学になるのか。いいコーヒーの貰い方を覚えたぜ。


「おうさんきゅ」


「思ったより反発しないんだな」


「そこまでニコ中じゃねぇ」


 ヤンキーよろしく、駐車場でたむろしていると


「お前さあ、卒業する気あんの?」


「あるよ」


「じゃあもっと気ぃつけろや」


「癖なんだよ」


そんなこと言っているといかにも優等生そうな男を見つけた。お~鴨だ。もちろん声をかける。


「よう兄ちゃんちょっといい?」


すると後ろから


「あ、田中じゃん!」




 武田の中学の同級生らしい。


「久しぶりだなぁ、田中お前どう?学年一位?」


「うん。この前のテストで一位だんたんだ。向こうでもやってけそうだよ」


「まじかー。やっぱすげーな」


「でこの方は?」


ああ、と武田が紹介しようとしたので


「俺は山下だ。武田とは同じクラスだ。同じクラスっていっても十九歳だけどな」


「へーじゃあ年上じゃん。武田、敬語使わなくていいのか?」


武田が答える前に


「いいってことよ。敬語なんて使われるほどのもんでもねーし、壁つくっちまうからな」


「で、この山下、今更高校卒業したいんだって。ハハハ面白いだろ」





 「お前、カツアゲしようとしてただろう?」


「いーや、ちげーよ。お前の知り合いだと思ったんだよ」


「んなわけねーだろ!」


という風に騒いでいると


「ちょっと君たち~、店の前で騒がないでくれる?」


店長らしき奴に声をかけられた。俺が突っかかろうとすると


「いーや、すいやせん。コーヒーおいしくてテンション上がっちゃったんすよー」


と言いながら武田は俺を引っ張ってその場から退散した。


「騒ぎ起こすとまずいだろうが」


もとより騒いではいたがな。

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