第6話 機械人形の力



 男が突き出したナイフを腹部に受けた。

 けれど、私は人形だから死ぬ事が無い。

 女性らしい見た目を裏切る頑丈なボディが、命を守ってくれる。


「貴様っ! 機械人形かっ!」

「イエス」


 私は、ナイフを突き出した男の腕を掴んだ。


「ササ!」

「大丈夫です」


 私は即座に反撃して、敵を抹殺。


 わずか数秒の出来事である。


 普通の人間だったら、こうはいかない。


 王子は私の傷を見て、ほっとした顔になる。


「大けがはしていないようだな。良かった」

「私は機械です。故障ならまだしも、怪我をするはずがありません」

「似たようなものだろ」


 王子は私を普通の人間のように扱ってくる。

 そういう時、私は戸惑うばかりだ。


 けれど嫌な気持ちにはならなかった。


「ご心配をおかけしてしまいましたフィル様」


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