フレアザウスの戦闘人形

仲仁へび(旧:離久)

第1話 人間の代わり



 この世界では、何百年も戦争が続いていた。

 あまりにも長い間、戦いが起こりすぎて、この世界の大地が血で染まっていなかった日はなかった。


 戦いが起こってから、状況が落ち着くまでに、世界中で多くの人が死ぬ事になった。


 それで少しは人間は学んだのだろう。


 人間同士が争って、戦争で血を流すのは馬鹿げている。


 そんな意見で世界の国々はまとまった。


 だから、人間は死ななくなった。


 その代わり、人形が戦うようになった。


 大戦末期。とある異界から来た一人の人形師が、戦闘人形を発明した。


 そのノウハウが、世界中に広まったため、人間は人形を身代わりにしたのだ。


 だから、人間が死ななくなった代わりに、多くの人形が死ぬようになった。


 人形は物だ。


 生きていない。

 魂も存在しない。

 痛みも感じない。


 けれど、涙は流す。笑い声をあげる。


 人形には感情があった。


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