14.一人の戦い

 放課後の教室は人がいなくて寂しい。


 どうしてそんなところに私がいるのかというと、今日までの宿題を忘れていて今やっているところだからである。

 

 なんで忘れちゃったんだろう。昨日の夜は、今日は何もないなぁと思い、早く寝てしまったのはなぜだろう。


 何もないなんてことがないとこれからは思うことにする。


 宿題のプリントを唸りながら進めていく。時間がかかる問題なうえ、三枚もある。しかも裏表の両面印刷。


 今日中に提出してくれたらいいよと言ってくれた先生に感謝。


「終わらない!」


 なかなかに終わらないものである。


 誰もいない教室、外から聞こえる楽しそうな声、一人の私。ちょっとだけ悲しい。

 休憩しよう、そうしよう。


 窓の外の部活を眺める。あ、遠くに見えるのは陸上部かな? 窓を開けて見てみよう。


 声はもちろん聞こえないが、トラックを何人も走っているのは見える。あの中にさやかちゃんと南ちゃんがいるのかぁ。あの速いのは一条先輩かな?


 ……みんな頑張っている。そう私も頑張らなければいけない。先延ばしにしてはいけないことがある。


 私は静かに席に着き、宿題を始めたのだった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る