第2章「研究室に入り浸る」
第23話「研究所の姫」
「よぉし、新人君!! 我が最強の研究室へようこそ!!」
四月末、オンライン授業で大学にはあまり行かなくなったご時世での久々の登校。案外、楽しみにで研究室まで赴いた藤崎だったのだが……まさかこんな研究員がいるとは思ってもいなかった。
あまりにも癖が強くて、初めて会ったというのにびったりとくっついてくる彼女。これが男だったら構わずぶん殴っているが女子なので許していると言っても過言ではない。
——なんて言っていては御坂にぶっ殺されるのも分かっているのでなるべく平常心だ。あまり焦らず、落ち着いて話していこうか。そう思った藤崎は笑みを漏らしながら答える。
「は、はぁ……歓迎ありがとうございますっ」
「おうおうおう! なぁーんてしゃらくさい顔してるのよ!! もっとニコッてしてよほら、にこぉってっ!」
「にぃ……ぁ……ぃ……」
「あぁ~~だめ、もっと笑うぅ! ニコッてするのぉ~~!!」
「うぅ~~」
藤崎の頬を引っ張りむにむにと揉みしだく先輩。どうしても笑顔にしたいらしいが正直、藤崎の方はそれどころではなかった。
なぜかというと理由は単純かつ明白だろう。
その研究員、大学四年生の先輩、
この大学の中でも一番の大きさを誇るらしいが、実際何カップなのかは分からない。H、J、K? もしかしたらそれ以上、さすが最強すぎる巨乳爆乳おっぱいだ。
まあ、爆乳は少し言い過ぎたかもしれないがそれでも日本人離れした胸の大きさであるのは間違いはない。それに、そこに胸があるだけで視線が集まるし、焦点か何かだろうか。
「せ、先輩……っいたいです」
「あ、あらっ……それはごめんなさい」
「な、なんですかっ……こんな急に」
「え? いやねぇ、私の研究室に新人君が入ってくれそうっていう噂を聞いてねっ」
「噂ですか……」
もしかしたら、面談の時に担当の教授が伝えたのかもしれない。まあ、それはそれでいいのだがまさか研究室の先輩がこんな陽気な女子大生とは思ってもみなかった。
「もちろんっ、大歓迎だからねっ!」
「それはありがたいですけど……初日から圧が強いですよ」
「そうかしら? 前の子にも言われちゃったけどどうだったかしらね?」
「わ、分かってください……」
「うーーん、うん?」
「……はぁ、まじすか?」
しかし、彼女もまた天然のようだった。
御坂とはこれまた違い、かなり陽気でさらに天然だ。これは目移りしてしまいそうなのが問題だが今の彼にそんなことはできないだろう。
「えぇ、分かったわ!」
そして再び、たぷんと揺れる胸。
研究室内にいる男性陣を虜にするそれは男しかいないむさくるしい場所で異彩を放っていた。
「あ、あの……それで僕は——見学に来たんですけどどうしたらいいですか?」
先ほどからいじられくっつかれてばっかりの藤崎はようやく自分が何をしにきたのかを聞いたのだった。
「え、それは君が来たくて来たんじゃないの?」
「んぐっ……そ、それはごもっともですけど、なんかこう、新人には教えてくれるものがあったりするかなぁって……」
「ん、あぁ~~、うちは自己中心的な研究室なんでねぇ~~そういうのは知らないっ!」
ニコッ!
パッと明るくなった表情に相反して、目の前にたっている藤崎の顔は暗い。もしかしたら自分はとんでもない研究室に来てしまったんじゃないかとそう思った瞬間だった。
「——自己中心……自由放任じゃなくて?」
「あははぁ、そうとも言う~~」
「そうとしか言わないですよ!!」
「まぁまぁ、新人君が気になさんなってぇ……まずは私の研究手伝ってもらうつもりだからぁ」
にぱーーと、ほのぼのした表情で顔で肩を叩く崎島に苦笑いを漏らす藤崎。
そんな顔をしている先輩がどうにも怖くて、若干不安だ。
「じゃあ、何をしてるんですか? 先輩は?」
「私の研究はね、聞いて驚けぇ~~」
「まぁ、はい」
なぜハードルを上げるのか。
そう疑問には思ったが研究している大学四年生の先輩が言うならきっとそうなのだろうし、陽気で天然な彼女が言うならなおさらだ。
「————私は、AIの研究をしているんだ!!」
「っ⁉」
ふつうかーーい‼‼‼‼
ていうか、すごいのかーーーーい‼‼
結局、何も言えず「すごいですね」と社交的な返事をした藤崎はお昼ご飯にの時間に入ったのだった。
<あとがき>
新章開幕ということで、
お久しぶりですみません!! 歩直です!!
ちまちま上げていくのでフォロー、応援、☆評価などなどお願いします!!
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