文學的索引

Garm

前書・一に

 始まりの一頁、書き出しの一行程、人の心を掴むものは無い。

「吾輩は猫である」「国境の長いトンネルを抜けるとそこは雪国であった」「メロスは激怒した」。

 少しばかりの教養が有れば、かの情景、ひいては物語そこに住まう人々等が目に浮かぶのであろう。はじめが肝心、とはやはり真理である、とまあそう納得せざるを得ない。


 ……偉大なる文學家の言葉を引いてお茶を濁した私はやはり三流なのだろうか。まあ、きっと、差程問題でも無いだろう。


 さて。此処より始まるは一篇の積み重ね。

 唯一つのみの制約を以て、百余をゆるりと重ねて進む。



 文學的索引Literary Indexのはじまりはじまり。


 どうかゆるりと、御贔屓に。

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