あるいはこういう世界があるのかもしれない、という話ですらない。断片的にでも体感したことのあるものが散りばめられ、記憶の中の誰かが「あのとき見捨てたくせに」と吐き捨ててくる。その誰かが本当に誰かなのか、過去の私なのかはわからない。「さようなら」「ごめんなさい」「大丈夫ですか?」「■■は大切な友達だったので」見知った言葉がわらいながら読者の在りかたを責め立ててくる一作。