【第七章】五人の忍と大月山
第24話【ないものねだり】
息を切らす
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時雨は、黙って氷雨の話を聞いていたが、静かに話始める。
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「兄上、ワタシだって、今まで何も悩まずに生きて来たわけじゃない。兄上はワタシと違って黒い髪、茶色い目。健康な体。動物が何を言っているかも、分かることはないだから、自分の姿を見ても何も思わないだろう?だけど、ワタシはいつも、井戸に写る自分の姿を見て、ゾッとする。昔話に出てくる山姥のような銀色の髪に、鬼のように青い目。それに、動物の言葉も分かってしまう。まるで、化物だ。だが、不思議なことに化物の割には、体が弱くてすぐに寝込む。はははっ。」
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「
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「だけど、ワタシは自分を不幸者だとは、思わない。兄上を羨ましいとも思わない。ワタシはワタシのできることをするまでだ。里の家族を守る。この命に変えても。さぁ、兄上、ワタシに勝てるかな?絶対に、追いつかせないよ。」
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「さぁ、ホタルが待ってるよ。兄上、行こう。」
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「おう!」
二人は、駆け足でホタルの元へと向かったのだった。
次の日、
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「おぉー!オレにぼこぼこにされに来たか!待ってたぜ!」
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「なに言ってやがる!
【
「ふん。返り討ちにしてやるぜ!」
いつもの喧嘩が始まる。ネネはやれやれと言った感じでその二人から離れ、ホタルの元へ行こうとする。その時だった・・・
・・・ウワーーーー!!!!!・・・
後ろから悲鳴が聞こえる。振り返れば、揉み合った末に転んだと思われる
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「いたたたた・・・。ん?」
【
「つっっ・・・。」
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「わ、悪い・・・。」
【
「ん?あー気にすんな。俺、ちょっと布変えて来るわ。」
【
「お、おい!」
【
「気にすんなって・・・。」
一平が、頬を隠す寸前・・・。ネネは、
【
「ネネ?どうかしたのかい?」
【
「顔色が悪いよ・・・。具合でも悪いのか?」
【ネネ】
「え?う、ううん。なんでもないわ。ありがとう
そのままネネは、
中を覗くと、ちょうど白い布を頬に張り終えた
【
「・・・ネネ。どうかしたのか?」
一平が聞いてくる。
【ネネ】
「・・・・・・。」
確かめなければと思った。
【ネネ】
「あ、あのね・・・。
【
「お、おう。なんだよ?」
長い沈黙がそこに落ちる。
【ネネ】
「ホタルちゃん、どこにいるか分かる?探してて・・・。」
聞けなかった。きっとあの頰の下の傷跡を見れば、何か思い出すかもしれないと思ったのだが、思い出したら、一生後悔するようなそんな怖い記憶があるような気がして結局、口をついて出た言葉は、まったく違う言葉だった。
【
「え?あ、あぁ・・・。ホタルならさっき、井戸に水汲みに行くって言って出て行ったぜ。」
【ネネ】
「あ、ありがとう。」
ネネは、
朝早く、6人と1匹は、大月山へ向かおうと本家の玄関を出る。
【
「では、父上、行って参ります。」
【
「父ちゃん。俺、頑張って来るよ。」
【
「あぁ。頑張れよ。お前達三人も、しっかりな。」
【
「皆、体に気を付けて、頑張ってね。」
【
「それでは、
【
「・・・御意。」
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