時雨の里
有馬波瑠海《ありまはるか》
【第一章】それぞれの思い、それぞれの使命
第1話【東の里の5人の子供達】
【はじまり】
これは、ずっと昔。まだ日本に侍や忍びがいた頃、妖怪や、神の存在がまだ信じられていた頃の話。人々は餓えに苦しみ、各地で飢饉や戦乱が巻き起こり、世は混沌としていた。その中で唯一平和を保っている里があった。その里は、名を東の里と呼んだ。東の里は太古の昔より一頭の雨の竜によって守られていた。里は、その竜が降らせる雨によって、里の作物は良く育ち、又、里は、妖怪に襲われることも、疫病や災いに苦しむこともなかった。そんな東の里は複雑な入り江と広大な森との狭間に位置していたため、里以外の者からその場所を悟られることもない、幻の雨の里として世に知れ渡っていた。しかし、今、竜の力は時代と共に衰え、その平和も今、脅かされつつある。
5人の少年少女が麦畑でおにごっこをして遊んでいる。この時、年齢は全員7才。その中で一人、一際目を引く少年がいた。少年は名を
その
そんな二人を少し遠くで見ているのが、
ホタルの隣にいる少女の名は
そんな
【
「おーい!
【
「えっ!?何だ?何だ?」
何も考えず
【
「兄上、ちょっと、待った方か、、、。」
【
「うわー!!!」
【
「く、くそ、、、。他の麦に隠れて、仕掛けが見えなかった。」
【
「きゃっきゃっきゃっ!
【
「
【
「お前が怒った所で、何にも怖くないさ。だって、オイラの方が全然強いんだしよ。」
【
「まぁ、まぁ。二人とも喧嘩はよそうよ。」
【ネネ】
「
【ホタル】
「本当にね、、、。ふふっ。」
【
「やれやれ。とりあえす、落ち着こうよ。」
しかし、、、。
【
「ふふふ。
【
「いやいや。兄上!ワタシがどっちの見方どうかという問題ではなくて、、、」
【
「
【
「うわー!!!」
【
「いたたた。あっ!見て!兄上!
【
「可愛いね!」
【
「うわー!すげー!!!ゲロゲロ鳴いてるぜ!おもしれー!頬っぺたまで、膨らませて、まるでゲロゲロ鳴きながら、別の何かがカエルの口からゲロゲロ出て来そうな感じだ!」
【
「おー!確かに!」
【ネネ】
「アンタ達!いい加減にしなさい!」
【ホタル】
「まぁ、まぁ。ネネちゃん。それにしても、可愛いねぇ。」
【ネネ】
「そんな。
暫く五人は、カエルを見つめていた。
その後、夕方まで遊んだ5人は、東本村にある本家に帰る。本家には、
【卯月】
「あなた達三人。今日は道場に行ってたわけじゃないのに、一体どうしたらこんなに汚れるの?」
東の里では、忍びが使う忍術でも侍が使う剣術でもない東剣術という武術を村人は子供のうちから習うことを義務付けている。里には、その東剣術を極めた人物が道場を持ち、村人は時間を見つけては、道場に通っては、その人物に教えを請うた。広大な森の中にある東の里は、いつでも熊や、大浪に襲われる危険生があるため、いついかなる時でも、身を守る術を習っておく必要があるのだ。この東剣術は、東の里、伝統の武術と言っていいだろう。
卯月がごしごしと三人をお風呂に入れる。その後、暫くきゃっきゃっきゃっと、お風呂場からは賑やかな声が暫く聞こえていた
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