決着
クロードが自白した後の展開はあっという間でした。クロードが正式に、私に着せられた罪が冤罪でありあの時の事件がエリエとクロードの共謀であることを発表し、さらにエリエが犯人であることが高いと分かると、エリエは大人しく罪を認めました。
ここまで追い込まれた以上さすがのエリエでも罪を認めて反省したのかと思いましたが、何とエリエはそこでカールに脅され、襲われていたことを暴露したのです。
エリエの自白によると、彼女はクロードとともに私を陥れた後、カールに絡まれたらしいです。エリエは絡まれたと言っていますが、クロードの話によるとクロードが体調を崩して次の相手を探しに行っただけなのでしょう。
そしてカールはエリエに酔い覚ましと薬と称していかがわしい薬を飲ませ、エリエが正常な判断が出来なくなったタイミングでクロードと行った陰謀を自白させ、それをネタにエリエを揺すろうとしていたようです。
そこでたまたまクロードが「エリエの秘密を暴いた」などと仰々しいことを言ってやってきたのでエリエは自分がクロードと関係を持ってしまったことがばれたのだと勘違いし、クロードの口を塞がせるために毒を盛ったようです。
一方のクロードはその話を聞いて、エリエとカールはただ仲良くしているだけということが分かったせいか、愕然としていました。
もしもクロードがカールとエリエの秘密を知っていないのにエリエが先走って毒を盛ってこんなことになったのだとすれば、本人には悪いですがとんだ喜劇と言えるでしょう。そのうちエリエも真相を知って愕然とするのではないでしょうか。
そして実は今回の件にはそんなに関係していなかったカールも、エリエに薬を盛ったことが明らかになり、王宮に召喚されることになりました。
彼は「薬など盛っていない」と否認を続けていましたが、たまたま私の店にやってきて薬を要求していた場面を見たライアン子爵の証言が出て、罪が確定しました。観念して白状したところによると、彼はエリエにグランド家のお金を盗ませて自分に貢がせようとしていたようですが、それをする前にクロードのせいでばれたと憤慨していたとのことです。
こうしていくつもの大き目な家を巻き込んだこの騒動はようやく終わりを迎えたのでした。
一方の私は全ての事実関係が分かるまでは容疑が晴れていなかったとかでしばらくの間王宮に留め置かれ、事情聴取を受けたり証言したりしました。
とはいえ私の罪が冤罪ではないことが明らかになっていくにつれて待遇は良くなっていき、最後の方は軟禁というよりは、外出だけ制限されてはいるものの賓客待遇になっていました。
そしてクロードが倒れてから一か月ほど経った後のことです。
私の滞在している部屋に一人の兵士がやってきて告げます。
「セシリア・バナード様。事件の全ての後処理が確定し、あなたの無罪が確定したので全快の罪は全て取り消しとなります」
それを聞いてようやく正式に決まったか、と安堵します。
「良かったです。ちなみに他の方々はどうなったのでしょうか?」
「カール様は継承権取り消しの上蟄居、クロード様は身分剥奪の上追放、エリエ様は身分剥奪の上島流しとなったようです」
「そうですか」
毒を盛ったとされる私が追放だった以上、クロードが私と同じぐらいの罪でエリエが私より重い罪になったので一安心します。追放であればそれなりの都市で暮らすことは出来ますが、島流しであれば本当に辺鄙な島で暮らすことになります。貴族の生活に慣れた彼女にはかなり辛いのではないでしょうか。
カールの罪が他より軽かったのは、彼が薬を盛ったエリエに後ろ暗いことが多かったせいでしょう。
こうして私は晴れて完全に自由の身となり、王宮を出たのでした。
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