詫び石16つ目【クエストクリア】
「さて……」
ラグい『おかげ』と言うべきか、ラグの『せい』と言うべきか。
言い方はさておき、ドラゴンの動きが止まってくれたことは不幸中の幸いだ。
このすきにルロちゃんアイルちゃんの2人を安全な場所に避難させ、武器を構え……と思った途端にドラゴンの動きが再開する。
「グギュルルルルッ!!」
「きゃああああっ!!」
「いやああああっ!!」
咆哮と共に地面が揺れ、動けるようになったらしい2人の可愛い叫びが洞窟内に響き渡った。うーん、耳の保養。
とか考えている間にルロちゃん・アイルちゃんのどちらかに少しでも怪我なんてさせられた日にはバグの全てを活用してこの世界を滅ぼしてしまいそうなので、彼女たちの盾になりながらしっかり頭を働かせる。
(この前みたいに魔法が発動できれば……)
「グギュルルルルッ!!」
「ご主人様……っ!!」
「バカ……ッ!! 危ない!!」
HAHAHA、危なくなんてないさ。心配してくれてありがとう、アイルちゃん。
ルロちゃんがとっさに俺の前に出てくれようとしたのを片手で阻止し、空いている方の手をドラゴンに向けた。
「喰らえ……!! 何とかなれビーム!!」
瞬間、再び俺以外の動きがフリーズ。
しかし今回はすぐにラグが回復してしまった……のだが、バグの加護のもとにいる俺にとってそんなことは関係ない。
どうやったら意図的に発動できるのかまだ把握できていない氷魔法が手の平から飛び、まずはドラゴンを氷漬け。
次に炎がやつの巨体を囲み、格好つけるためにパチンと指を鳴らしたタイミングで爆発・炎上してクエストクリアのファンファーレが鳴り響いた。
「やったぜ!! なんとかなった!!」
「さすがです、ご主人様……っ!!」
「す、すごい……すごいっ!! どうやったの!?」
「ははっ、ただの勘と愛だよ」
とりあえずドラゴンの落とした素材を集める俺、倒れた巨体の横で何やらごそごそするアイルちゃん、笑顔で拍手するルロちゃん。
その後――……依頼完了の報告をするため、少しの休憩時間を置いてから再び2人を抱え山を降りるのだった。
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