詫び石11つ目
ギルドに入れてもらえたまでは順調だったが、ゲームの世界でもそう甘くできてはいなかった。
「チームメンバーは自分で見つけるんだぞ」
「チームメンバー……?」
団長の説明によると、ギルドに入ったからといって依頼を受けられるわけではないらしい。
今の状態はあくまでも『ギルドに入団している』だけであり、『チームに所属している』わけではないのだと彼は説明してくれた。
……ただの偉そうな人だと思っていたが、意外と新人に親切なんだな、団長……トゥンク……。
「チームメンバーは……まあ、名前の通りだが、簡単に言えば『一緒に旅をしてくれる仲間』ってことだ」
「仲間、ですか……」
「人数は最低3人、上限は……仲違いで面倒事さえ起こさなければ何人でも好きにしろ。ムラビトにはもうすでにエルフの嬢ちゃんが」
「ルロちゃんです!!」
「……ルロって娘がいるだろ。残り1人見つけてくればチームとして認めてやる」
◇
と、いう話をしたのが数十分前なのだが、
「あの、俺とチームを」
「お、俺の実力じゃアンタには釣り合わない……!! 他を当たってくれ!!」
……これの繰り返しで一向にメンバーが集まらない。
「クッ……! どうしてだっ!!」
「ご主人様……」
心が折れかけてその場に崩れ落ち拳で床を叩くと、ついさっきまで女性団員にもらったみかんゼリーを幸せそうに食べていた可愛いルロちゃんが駆け寄ってくる。
「大丈夫だよ、ルロちゃん。俺が必ずチームメンバーを見つけるからね……」
「でも……」
「何も心配いらないよ。あと口のはしにみかん付いてるよ」
その頭を優しく撫でたあと指の先で口元を拭ってあげると、ルロちゃんは顔を赤くして「ありがとうございます」と呟いた。
「……」
「……?」
そういえば、俺がステータスをオープンされている時からずっと何やらこちらをチラチラ見てくる女性団員が1人いる。
ルロちゃんの相手をしつつ色々と物を与えてくれていたため任せっきりにしてしまっていたのだが、やはり一言ぐらい何か言っておくべきだろうな。
「あの、」
「……っ!? な、何よ!!」
立ち上がってその女性に向き直ると、彼女は被っていたフードの両側を持ち顔を背けてしまった。
「ルロちゃんの相手をしてくれてありがとうございました。色々デザートまでもらっちゃって」
「……」
「何かお礼をさせてください。俺にできる事なら何でもします」
「!!」
途端に女性は目線をこちらに戻し、なぜか「ふふん」と胸を張る。
「言ったわね」
「?」
「じゃあ、あんた達。私のチームメンバーになりなさい!」
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