第34話 王太子息女とその兄は一旦退場

 結局、ローゼンシュタットの外務大臣と、被服や手芸装飾品に詳しい専門家を交え、大使の時間のある日に、システィアーナとユーフェミアを中継ぎに、フレイラと、マリアンナとユーンフェルトで大使館を訪問することになった。


 その際、システィアーナ達の工房の製品と、フレイラの手編み作品とを持ち込み、マリアンナも自国から持って来たドイリー編みレース飾りのドレスを着る事になっている。



 園遊会も始まったばかりだったが、元々の招待客でもないリングバルドの兄妹は、マリアンナの着替えを以て退席となった。



「ゴチャゴチャしたけど、なんとかなったみたいね? 安心したわ」


 フレックにエスコートされながら、アナファリテがシスティアーナ達のテーブルに来た。


「アナ⋯⋯」

「元々、王女の逆恨みでしょう? 王太子殿下に相手にされない事の。まさか、婚姻相手としての資格がないとは思わなかった辺り、単に不勉強さを露呈しただけだったわね。それでなくても、あそこまで相手にされなければ、普通は諦めるものだと思うのだけれど」

「どうしても振り向いて欲しくて、特別扱いをして貰える可能性がないとか、強引に追い掛けられて迷惑とか、考えてなかったんだろうね」


 『爽やか第二王子』スマイルで、にこやかに毒を吐くフレック。


「でも、あんな、大勢の前で陛下に抑えつけられて、少し可哀想だったわ」

「自業自得。そもそも、訪問先の異国で好き勝手したり、外交官に仕事丸投げで兄上オトコの尻を追い掛けてる時点でアウト。ローゼンシュタットの大使も甘いね、僕なら相手にしないよ。あんなの、特使として認められないね」


 一応従弟いとこであるのに辛辣なデュバルディオ。

 ただ、擁護出来る点を見つけられず、この場の誰もがディオの言葉を否定はしなかった。


「で、でも、偶然だけれど、ローゼンシュタットと新しい交易の交渉が出来るようになったわ」

「怪我の功名だね。よかったじゃないか。ボビンレースも、レティセラ(刺繍カットワークレース)なんかに比べても評価も価格も高く、主に貴族相手の需要からかなりの利益率で輸出が期待出来るんだろう?」


 先程は毒を吐いたフレックもご機嫌で、鼻歌でも歌い出しそうだった。


「内需も伸びがいいの。今はまだあまりたくさん用意出来ないから、もっと刺繍作家やレース職人を増やさなきゃ。明日にも募集をかけないと。技術を覚えてもらうまで時間もかかるわ」


 先程まではエルネストに支えられて、困惑したり謝罪したり、影のある表情をしてたシスティアーナが、活き活きしている。


 国王エスタヴィオに睦まじいと思わせる事は出来なかったしマリアンナの稚拙な冤罪事件に巻き込まれてしまったが、こうして楽しそうなシスティアーナと隣り合わせに座って会話や茶菓子を、エルネストもゆっくりと楽しんだ。




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 初めての試み ── 「冤罪をふっかけられる」と「断罪」


難しくて、なんだか消化不良な気もしないでもないですが、階段から突き落とした、だの持ち物を破損させるとか、やってもいないことを犯人扱いさせられるとか、断罪されて不幸な目に、とか爽快に逆転劇とか、難しくて上手く出来ませんでした。


 突き抜けてやろうとしたら、益々マリアンナは阿呆か逆に相当狡猾かになってしまうし、収拾図るのに時間がかかりそうだし、作者が賢くないので無理でした🙇




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