第2話 園遊会のパートナー②
フレキシヴァルトの護衛騎士アスヴェルの
朝早く暗い内に起き出して、同じく朝早くから朝議に出なければいけないフレックの護衛騎士アスヴェルの身仕度の準備も行わなければならない。
顔を洗い、着替え、剣帯に騎士団の紋章を
フレックの私設秘書も兼ねているので、一般的な
今度の園遊会には、
エスタヴィオに、システィアーナから選ばれなかった場合に婿入りしろと言われた三人や、その他のリストにあった令嬢達も参加していることだろう。
エルネストは気が重かった。
「朝から浮かない顔だね?」
フレックにそう言われてしまうほど、顔に出ていたらしい。
「そういう訳では⋯⋯ いえ、そうですね、今度の園遊会、気が乗らないので」
一応仕事中なので、気安い話し方は改めているが、それでも内政のトップスリーにいる第二王子殿下に対する態度ではない。
が、そこを咎めたりするフレックではない。失敬なほどでなければ笑って過ごす。ましてエルネストは、フレックにとって親友(フレック自称)である。当人も公式な場でなければ、友人の顔を配分多めに出していた。
「そんな、肩肘張って出る宴でもないでしょ。夜会のように、豪華に着飾ってパートナーを伴ってダンスのひとつふたつって訳でもないんだから」
「それはそうなのですが⋯⋯」
「シスと出れば?」
「はぁ」
「夜会みたいに、どこそこ公爵家の誰それと
案外、シスもパートナーに困ってるかもよ?
にっこり慈愛と愉快の入り混じった不思議な笑顔で、フレックに送り出されるエルネスト。
(そんな事言って、また、王太子殿下と一緒に入場するんじゃないのか?)
疑り深くなり素直に喜べない。
「ああ、エル。お帰り」
園遊会に出るための礼服を取りに公爵家へ戻ってきたのだ。
近衛騎士のアスヴェルはともかく、従者のエルネストには、大きなクローゼットのついた部屋は与えられていない。日常の着替えと
兄ユーヴェルフィオに帰宅の挨拶をして、暗鬱な顔で自室の衣装部屋に向かう。
(雪解けの早春だから、白か水色
近衛騎士アスヴェルの
「そう言えば、エルネスト」
領主執務室で仕事を続けていたはずのユーヴェルフィオが、衣装部屋の入り口で、一通の手紙を手に微笑んでいた。
「恋文が届いてるぞ?」
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