11話
人間並外れた身体能力、自己再生する肉体、鉄を溶かす程の焔を噴き出す剣。
模擬戦で通常とは規格外の力を見せつけてしまったアルスは、騎士団の上層部と政府により国の下で働く兵士にするために半強制的に二等兵から准尉まで一気に階級を引き上げられた。
国の駒として動かすなら階級を二等兵のままでも良いと思うが、二等兵では力を付ける為の行動範囲があまりにも狭く、アルスの力がその時に限界に達してしまうことを考えてアルスはある程度の自由が効く准尉まで上げられた。
理由はもう一つあり、階級の低さによる不自由さに反発をされれば手に負えなくなる可能性があるからだ。
そうして准尉に階級が上がったアルスは二等兵以来の物置き部屋ではなく、しっかりとした専用の訓練部屋を用意され、アルスはそこでいつもと変わらない訓練をしていた。
そして更になんの前触れもなくアルスのステータスに変化が訪れる。
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特殊条件達成。Lv+1
条件:最終目標に一歩近づく。
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-ステータス-
名前:アルス
Lv:3
体力:76(+5)
筋力:79(+5)
魔力:63(+5)
敏捷:138(+7)
※( )は、スキル発動時の上昇値
-第二ステータス-
St:Lv1
Ta:Lv1
Gr:Lv1
魔法:
・焔の剣Lv2
スキル:
《諦めない心》Lv1
《訓練補助》Lv1
《勇者の闘志》Lv1
《限界を超えし者》Lv1
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アルスのレベルが一つ上がった。このレベル表記はまだ確信には至っていないが、アルスの経験上、このレベル自体にステータスの変動は無く、前に見たレベルの説明にあった通り『スキルレベルはこのレベルを超えられない』とあった。
レベル1の時には幾ら魔法の強化をしようとも魔力が上がるばかりで魔法のレベルが上がる事は無かった。しかし、レベル2になった所で初めてレベルが上がったのだ。
この体験からしてアルスはこのレベル表記の意味はスキルのレベルをあげられる範囲を広げてくれるものであると判断した。
アルスはそれから例え政府の武器として扱われようとも一切それに疑念を持たずに、ましてや期待以上の力を出すべく、更なる訓練を重ねた。
既に、身体能力強化ミッションも敏捷、魔力強化ミッションも今思えば意外と早めに修了してしまったが、今のアルスで唯一能力を強化できるのは、スキル《訓練補助》によるマンスリーミッションであった。デイリーミッションを毎日欠かさず一ヶ月やり遂げた事でマンスリーにグレードアップしたミッションな訳だが、だからといって能力の強化のペースが遅くなった訳ではない。
デイリーミッションが廃止されたはものの、毎日の達成目録が消えただけに毎日の能力上昇は永遠と上がり続けているのだ。
階級が准尉になってからはもう模擬戦という方法での昇格方法は無くなり、ここからは完全に実力と貢献次第となった。
貢献とは言葉通り、セレクリッド王国に対して周囲の魔物討伐や、周辺調査の報告により実際に"貢献"することである。
それからアルスは准尉になったものの、度々父のファータが様子見してくる時はあったが約半年間、特に動きは無かった。
その半年間もアルスは一日足りとも、訓練を怠る事は無かった。
ステータスの身体能力も順調に上がっていく。まるで限界を知らぬかのように。
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-マンスリーミッション六回分-
能力値:+186ランダム振り分け
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特殊条件達成 St+1
条件:体力と筋力が『100』を超える。
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特殊条件達成 《諦めない心》Lv+1
条件:長期間の訓練に徹する。
[効果]
精神異常耐性:大⇒特大
体力自動回復:小⇒中
肉体的損傷の回復:大⇒高速
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特殊条件達成 《訓練補助》Lv+1
条件:マンスリーミッションを熟し続ける。
[効果]
ミッション達成時の能力上昇値+1⇒+2
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-ステータス-
名前:アルス
Lv:3
体力:130(+5)
筋力:111(+5)
魔力:136(+5)
敏捷:165(+7)
※( )は、スキル発動時の上昇値
-第二ステータス-
St:Lv2
Ta:Lv1
Gr:Lv1
魔法:
・焔の剣Lv2
スキル:
《諦めない心》Lv2
《訓練補助》Lv2
《勇者の闘志》Lv1
《限界を超えし者》Lv1
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遂に全能力値が三桁を超えた。以前から三桁を超えていた能力で敏捷138があったが、この数値と実際の身体の動きは、この前の模擬戦にて検証済みである。
簡単に言えば、『常人では目で追えぬ速さ』だろう。アルスが対戦相手の攻撃を避けて、背後を取ろうと判断すると同時に身体はアルスが背後に回ったと状況を掴む前に動いていたのだ。そう、脳と体の動きが追いつかない程の速さ。
いや、それこそ今問題視するべき所なのだろうが、少なくとも対戦相手とその野次馬さえも背後に回った事を一瞬気がつかなかった程度だ。
つまり現在の敏捷が165で、例に出すなら筋力130。この値はまだ未検証だが、筋力が100を超えた今は人の常識を超えた力となっているだろう。
アルスのこれからの未来は政府の駒、悪く言えば犬として働くというのにアルスはけっして訓練は怠らない。この成長がいずれのアルスの夢を揺るがすとも知らずに。
そう半年間訓練を続けると、まるでそれを待っていたかのように、アルスの訓練場に一人の男兵士が入ってきた。
「アルスさん失礼します。アルスさんを含め、大尉一人と軍曹から上等兵全員に任務通達です。この任務は参加必須なので至急作戦会議室へお越し下さい。以上です」
「任務……! ついに国へ貢献する時か!」
兵士の目的は任務参加者への通達だった。この報告にアルスは心躍らせる。危険や疑問などは顧みず、ただただ国へ貢献する事ができるという事実にアルスは興奮するのだった。
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